『モーパッサン短篇選』岩波文庫2017-09-14

2017-09-14 當山日出夫(とうやまひでお)

モーパッサン.高山鉄男(編訳).『モーパッサン短篇選』(岩波文庫).岩波書店.2002
https://www.iwanami.co.jp/book/b248032.html

モーパッサンの短篇は、若い時にいくつか読んだ記憶があるのだが……きちんと読み直してみたくなって買ってみた。『女の一生』を読んだ次に読む本として。

まさに短篇の名手である。どの作品も、とにかくうまい。

冒頭の作品『水の上』などは、読んだ最後に怖くなる。おそらく、世界の文学のなかから怖い作品を選ぶならば、必ずはいるのではないか。

それから、『女の一生』でも感じたことだが、自然描写がいい。『山の宿』の冬山の自然描写など、素晴らしい。モーパッサンの作品は、自然描写とストーリーが密接にからまっている。うまくとけこんでいる。

また、いうまでもなく、するどい人間観察の目。それに、ストーリーの展開。見事な結末。語りのうまさ。どの作品ももうしぶんない。文学を読む楽しみがあるとすれば、このような作品を読む時間こそが価するといっていいだろう。

今になってこういう作品を読むと、これはもっと若い時に読んでもよかったかな、という気持ちになる。若い頃、19世紀フランス自然主義文学……というだけで、通り過ぎてしまっていたところがある。

ともあれ、人生のこの時期……還暦をすぎた……になって、このような本を読んですごす時間があるというのは、幸せなことなのであろうと思う。仕事、締切におわれるわけでもない。まあ、学校の授業の準備などもあるが、それもさしせまったものでもない。ここしばらくは、若い時に読みそびれていた本、昔読んだ本の再読……ドストエフスキーの作品をまとめて読み返そうと思っている……ということで時間をつかいたいと思う。

追記 2017-09-15
この続きは、
やまもも書斎記 2017年9月15日
『モーパッサン短篇選』(岩波文庫)(その二)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/09/15/8677096

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