雪見障子2017-09-09

2017-09-09 當山日出夫(とうやまひでお)

宮部みゆきの時代小説を読んでいて……こんど出た『この世の春』、それから三島屋シリーズなど……気になっていることばがある。雪見障子である。

私の理解するところでは、雪見障子というのは、障子の下半分が、ガラスになっていているものである。あるいは、それに、上げ下げして、全面を障子にしたり、あるいは、ガラスで透けて見えるようにしたり、調整できる可動式の小さな障子がついている。

部屋の中にいながら、ガラスを通して、雪見ができる、という意味だと理解していた。

ただ、ジャパンナレッジを検索してみても、「雪見障子」についての解説は見いだせない。Googleで検索してみると、上述のような、現代の建具としての雪見障子が出てくる。

つまり、宮部みゆきの描いている江戸時代には、まだ雪見障子はないのではないか、と思うのだが、どうだろうか。家の中の建具に、ガラスが一般的に使われるようになるのは、どう考えてみても明治より新しいだろう。

でなければ、江戸時代にも、その時代の雪見障子があったのかもしれないが、わからない。気になっていることばである。雪見障子ということばは、風雅なことばであるから、江戸時代にあってもよさそうな気もしている。しかし、その場合でも、現代のようなガラスのはまったものではないであろう。