プロジェクトX「窓際族が世界規格を作った」2021-06-05

2021-06-05 當山日出夫(とうやまひでお)

NHK プロジェクトX 窓際族が世界規格を作った VHS執念の逆転劇

前回は、
やまもも書斎記 2021年5月29日
プロジェクトX「家電元年・最強営業マン立つ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/05/29/9382323

この番組は、録画で見ることにしている。が、そこにVHSの姿はもうない。テレビ内蔵のハードディスクによる録画である。VHSは、もう世の中から姿を消してしまった。

大学の教室には、以前、VHSの再生装置があった。教材を学生に見せるためである。それも、近年になって、無くなってしまっている。かわりにあるのは、DVDのプレーヤーである。

この放送は見た記憶がある。松下幸之助のことばを覚えている。ベータマックスは一〇〇点である。だが、VHSは一五〇点である、と。

業績低迷する企業の窓際族による、逆転劇として非常にドラマチックな構成になっていたと思うし、また、そのような内容であった。

印象に残ることを記せば、次の二点ぐらいになるだろうか。

第一には、ビクターが、その製品をオープンにしたことである。ライバル企業に試作機を無償で提供する。結果、VHSの規格に賛同したメーカーのアイデアにより、よりよい製品にしあがっていく。

第二には、その開発の第一線で働いた技術者が、工業高校出身であったこと。今なら、メーカーの技術開発部門で働く若者は、大学の工学部・理工学部、場合によっては、大学院を出ているだろうと思う。日本の技術開発と、学歴、キャリア形成という視点から見ても興味深い。

以上の二点ぐらいが、この回の放送(再放送)を見て思うことだろうか。

VHSの規格は過去のものになってしまったかもしれないが、その切り拓いたものは大きい。映像コンテンツビジネスは、今や、インターネットの時代になって、巨大ビジネスになって、より発展しようとしている。その最初の一歩を踏み出したのが、日本におけるVHSの開発の物語であった。そう思って見ると、感動的な物語である。

2021年6月2日記

追記 2021年6月12日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年6月12日
プロジェクトX「カップめん・どん底からの逆転劇」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/06/12/9387028