『鎌倉殿の13人』あれこれ「穏やかな一日」2022-10-18

2022年10月18日 當山日出夫

『鎌倉殿の13人』第39回「穏やかな一日」
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/39.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年10月3日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「時を継ぐ者」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/10/04/9530701

義時は、権力者になっていく。それは、あるいは、板東武者の頂点にたつということとは、ちょっと意味が違うかもしれない。板東武者、御家人をたばねる共同体的な存在としての北条では、もはやなくなっている。そこにあるのは、「鎌倉殿」であり、「執権」である。政治の権力の中枢に位置するものになっている。

この回で描いていたのは、鎌倉での普通の日々。タイトルは「穏やかな」とあるが、決して穏やかなものではないことが、見ていて実感される。実朝、義時の、ある意味で確執といってよいことから、御家人の間にある反北条の感情のわだかまり、このあたりが、一見穏やかな日々の影にうごめいていることになる。

最後に、公曉が登場していた。読み方は、「こうぎょう」とあったのは、最近の歴史学の考えかたに依拠したものであろう。(私が、昔読んだ本、学校の歴史の授業で習ったときは、「くぎょう」で憶えていたものである。)

歴史の結果として、源氏は実朝で途絶えることになるのだが、あるいは、事件が起こらなくても、源氏は三代で終わることになったのかもしれない。実朝は、どうやら、女生と関係をもつことができないようだ。といって、今更、実朝に変わって新しい鎌倉殿というわけにもいかないだろう。

権力の中心は北条にある。権力を掌握した北条のトップに位置する義時は、いわば悪人である。決して善意だけでは、権力を維持することができないことを、このドラマは、静かに描いていると思う。

さて、次週以降はどうなるだろうか。実朝をめぐる悲劇へと進んでいくことになる。楽しみに見ることにしよう。

2022年10月17日記

追記 2022年10月25日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年10月25日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「罠と罠」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/10/25/9535725