『光る君へ』「謎の男」2024-01-22

2024年1月22日 當山日出夫

『光る君へ』第3回「謎の男」

時代考証にかかわる議論はさておくとして、これはたしかにドラマとして面白い。

まひろは左大臣家におもむく。おもむく。そこには赤染衛門などがいて、サロンになっていた。出てきていたのは、偏継ぎの遊び。漢字を偏と旁にわけて、文字を作るゲームである。まひろは一人勝ちしてしまう。ここのところは、まひろの漢字に対する知識ということになる。これも、後には、漢字の「一」という字も書けないようなふりをすることになるはずだが、それはかなり後のことになるだろう。

若い貴族たちがあつまって女の話をする。おそらくは、『源氏物語』の「帚木」に出てくる雨夜の品定めをうけてのことかと思う。女からもらった文(歌が書いてある)を取り出して披露していた。ここで、はっきりと「中の品の女」というようなことは出てきていなかった。が、『源氏物語』を考えるときには、「帚木」から始まる玉鬘系の物語が、中の品の女たちの物語であり、そして、紫式部自身もその階級に属するということは、指摘されていることである。

左大臣家のサロンで、『古今和歌集』の歌をそのままもってきてばれたというシーンがあったが、これは無理があるかもしれない。この時代、おそらく『古今和歌集』の歌なら、ほとんどそらんじているというのが、女房たちに求められる素養と言っていいだろう。

漢籍を読むシーン。巻子本で読んでいるのはいいのだが、残念ながら読むときにヲコト点を加点する場面は出てきていなかった。しかし、画面に映った本には、種のヲコト点が加点してあった。琴をひくシーンでは、立て膝であった。行成が字を書いているとことは、行成様という雰囲気の字であった。

次週、五節の舞になるようだ。これは『源氏物語』にも登場する。どのように描くことになるのか、楽しみに見ることにしよう。

2024年1月21日記

ハートネットTV「瞽女唄が響く」2024-01-22

2024年1月22日 當山日出夫

ハートネットTV 瞽女唄が響く

瞽女唄というのを、テレビではっきりと耳にしたのは初めてということになるかもしれない。あるいは、若いとき、東京に住んでいたときは、国立劇場の小劇場の民俗芸能などの公演には、かなり足をはこんでいたので、その時に、接していたかとも思うのだが、記憶にない。

ことばとしては、阿賀北瞽女ということばを知っている。たしか、NHKのラジオの朗読の時間に、耳にした。たぶん、『阿賀北瞽女と瞽女唄集』だったかと思うのだが、はっきりとは憶えていない。これも若いときのことである。

番組の趣旨としては、視覚障害のある女性の生きる姿を追ったものであることは理解しているつもりだが、それよりも、瞽女唄というのがどんな芸能であるのか、芸能史的な興味関心がある。北国の農山村などにおいて、人びとにとって瞽女唄ぐらいがたまの娯楽であった時代というものがあったことは確かなことだろう。

瞽女唄というものを記録し、残していくことについては、私はその価値があると考える。そのような芸能があり、その芸能にたずさわる人びとがどんな生き方をしていたのか、これは歴史として語り継いでいく必要のあるものだと思う。

2024年1月18日記