フロンティア「サイケデリック・ルネサンス 精神医療の最前線」2025-10-02

2025年10月2日 當山日出夫

フロンティア サイケデリック・ルネサンス 精神医療の最前線

人間の精神とか心とかについて、それを病気だと考えるということの根拠から、まず問われるべきことかとも思う。無論、その病気といっていいだろうが、PTSDやADHD、鬱病などのその当事者にとっては辛いことである。その辛さをなんとかしなければならないという医療の意図は分かるのだが、その根底にある、人間を脳の働きで説明することができる、という考え方に、わずかではあるが違和感がある。人間の心のあり方を脳の機能に還元して、それをコントロールすることができれば、病気を治すことができる。ここまではいいのだが、その先にどのようなことが可能になるか、ということを想像してみると、いくぶんの不安がある。そういう領域にまで、人間が手をつけていいのだろうか。

これまでの医療と倫理の問題は、技術的に可能なことであるならば、(一般に安全性がたもたれるならば)、その技術を認めるという方向に進んできている。そして、多くの命が助かり、長生きできるようになったことは確かなことである。

人間の人間たる基盤を、生命であること、それから遺伝子と脳にもとめるというのが、現代の人間観の基本になってきている。そして、その先のこととして、遺伝子と脳をコントロールすることが、徐々にではあるが可能になってきている。この先に待ち受けるであろう、倫理的問題にたちむかう準備ができているだろうか。

少なくとも、脳の神経の再配線ということが可能になるとするならば、人間のもつ社会性や文化、言語、ということについての認識を根底から変える可能性がある。

これまでも人間は、医療のみならず、呪術などにおいても、いろんな薬物を使ってきた。それが脳の働きに作用するものであったものもあることになるのだが、現代になって、そのメカニズムがあきらかになってきた。こういう意味では、脳に働きかけるということが、意識的、意図的におこなわれるようになってきている。

現在の精神医療とサイケデリックということで企画した番組ではあるのだが、このことのはらんでいる課題は、非常に大きなものがあるはずである。

2025年9月18日記

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