『源氏物語』(15)東屋・浮舟 ― 2020-08-07
2020-08-07 當山日出夫(とうやまひでお)

阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男(校注・訳).『源氏物語』(15)東屋・浮舟.1998
続きである。
やまもも書斎記 2020年8月6日
『源氏物語』(14)早蕨・宿木
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/08/06/9275816
第一五冊目である。「東屋」「浮舟」をおさめる。
こんなことは、『源氏物語』「宇治十帖」について常識的なことだと思うが、やはり読んでみて強く感じるのは、次の二点。
第一には、継子の物語であること。
王朝の昔、継子の物語が多く愛好されたことは知られていることであろう。その目でみるならば、ヒロインの浮舟は、継子である。それが、貴公子に見初められて……という、分かりやすいストーリーの大筋が用意されている。
第二は、二人の男に愛される女。
これは継子同様、日本文学における重要なテーマの一つである。この物語の場合は、浮舟をめぐって、薫と匂宮があらそう形になる。
以上の二つの大きな骨格のもとに、中の君を配して、主に四人の登場人物……薫、匂宮、浮舟、中の君……の、たがいの心理のうちを描いていく。それは、必ずしも、相手の気持ちに深く共感するというものではなく、むしろ、反目であったり、すれちがいであったりする。その心理描写が、実にリアルである。このリアルな心理描写が、「宇治十帖」の魅力であると強く感じる。
さて、残りはあと一冊である。続けて読んでしまうことにしよう。
2020年7月3日記
追記 2020-08-10
この続きは、
やまもも書斎記 2020年8月10日
『源氏物語』(16)蜻蛉・手習・夢浮橋
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/08/10/9277129
この続きは、
やまもも書斎記 2020年8月10日
『源氏物語』(16)蜻蛉・手習・夢浮橋
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/08/10/9277129
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