「ドキュメント 能登半島地震 緊迫の72時間」 ― 2025-01-04
2025年1月4日 當山日出夫
NHKスペシャル ドキュメント 能登半島地震 緊迫の72時間
一月一日の夜の放送なので、能登半島の地震から一年目の日としては、こういう番組になるのは、理解はできるつもりだが、あまり得るところはなかった。たしかにかわいそうとは思い、共感するところはあるのだけれども、そういう人の映像を見ても、ではこれから起こるであろう災害にそなえて何を考えるべきか、ということにつながるわけではない。
この番組で得るところとしては、災害の救助にあたる、警察、消防、自衛隊、これらの連携や連絡、総合的な指示、こういうことができないのが、日本の現状であるということを、明らかにしたことである。それぞれ所轄の官庁も違う。これらを、地方自治体の長や知事の権限で、統括的に運用するというのは、かなり無理がある。自衛隊は軍である。それを知事の権限で指揮できることになると、これは問題である。国のレベルでの危機対応の組織が働かなければならない場面である。
だが、これまで、緊急事態において政府の権限が地方自体を超えるというようなことについては、危険思想であると、さんざん批判されてきたというのが、私の認識である。憲法に緊急事態条項を加えるべきとまでは思わないが、このような災害が起こったときに、すみやかに各種の組織……警察、消防、自衛隊、それから場合によっては海上保安庁、さらには各地の医療機関、空港や港湾の利用……これらを、統括して運用するための法的な整備は必須ということになるはずである。
NHKがこのような番組でまず検証すべきは、一年前の地震の日の報道についてである。これは、内部だけでおこなうのではなく、オープンなところで、他のマスコミとも共同して行った方がいいだろう。一つの被災地に、各社の報道関係者が一斉におしよせることの是非も論じる必要がある。
また、地震の情報がどのように把握できて、それを、どう報道したのか、ということが重要になる。番組を見て思い出すことは、地震の直後は圧倒的な情報不足だったということである。現地の状況がどうなのか、どれほどの被害があるのか、救援を待つ人はどこにどれぐらいいるのか、そして、何をどうすればいいのか……何よりも重要なのは現場についての情報である。このことを抜きにして、ボランティアに行くことの是非について、議論しても無意味である。
道路が寸断され、現地で水も食料も寝るところも確保できないような状態のところに、いくらボランティアだからといっても、そう簡単にいくべきではないと、考える。災害から時間がたって、状況の変化に応じて、必要な手助けは変わってくる、このようなことを、的確に報じることも報道の仕事である。この意味では、NHKが地震のあってしばらくしてから、各自治体ごとに必要とする援助について、整理してニュースで報じるようになったことは、よかったと思っている。(実際にどれだけ役だったのかの評価は、別にきちんとしなければならないが。)
それから、全国孤立可能性マップは、見てみた。さいわい、といっていいのかどうかためらわれるが、今の私の住まいしているとことは、含まれていない。しかし、長男の奥さんの実家とか、私が生まれたところとか、危険な地域ということになる。
2025年1月3日記
NHKスペシャル ドキュメント 能登半島地震 緊迫の72時間
一月一日の夜の放送なので、能登半島の地震から一年目の日としては、こういう番組になるのは、理解はできるつもりだが、あまり得るところはなかった。たしかにかわいそうとは思い、共感するところはあるのだけれども、そういう人の映像を見ても、ではこれから起こるであろう災害にそなえて何を考えるべきか、ということにつながるわけではない。
この番組で得るところとしては、災害の救助にあたる、警察、消防、自衛隊、これらの連携や連絡、総合的な指示、こういうことができないのが、日本の現状であるということを、明らかにしたことである。それぞれ所轄の官庁も違う。これらを、地方自治体の長や知事の権限で、統括的に運用するというのは、かなり無理がある。自衛隊は軍である。それを知事の権限で指揮できることになると、これは問題である。国のレベルでの危機対応の組織が働かなければならない場面である。
だが、これまで、緊急事態において政府の権限が地方自体を超えるというようなことについては、危険思想であると、さんざん批判されてきたというのが、私の認識である。憲法に緊急事態条項を加えるべきとまでは思わないが、このような災害が起こったときに、すみやかに各種の組織……警察、消防、自衛隊、それから場合によっては海上保安庁、さらには各地の医療機関、空港や港湾の利用……これらを、統括して運用するための法的な整備は必須ということになるはずである。
NHKがこのような番組でまず検証すべきは、一年前の地震の日の報道についてである。これは、内部だけでおこなうのではなく、オープンなところで、他のマスコミとも共同して行った方がいいだろう。一つの被災地に、各社の報道関係者が一斉におしよせることの是非も論じる必要がある。
また、地震の情報がどのように把握できて、それを、どう報道したのか、ということが重要になる。番組を見て思い出すことは、地震の直後は圧倒的な情報不足だったということである。現地の状況がどうなのか、どれほどの被害があるのか、救援を待つ人はどこにどれぐらいいるのか、そして、何をどうすればいいのか……何よりも重要なのは現場についての情報である。このことを抜きにして、ボランティアに行くことの是非について、議論しても無意味である。
道路が寸断され、現地で水も食料も寝るところも確保できないような状態のところに、いくらボランティアだからといっても、そう簡単にいくべきではないと、考える。災害から時間がたって、状況の変化に応じて、必要な手助けは変わってくる、このようなことを、的確に報じることも報道の仕事である。この意味では、NHKが地震のあってしばらくしてから、各自治体ごとに必要とする援助について、整理してニュースで報じるようになったことは、よかったと思っている。(実際にどれだけ役だったのかの評価は、別にきちんとしなければならないが。)
それから、全国孤立可能性マップは、見てみた。さいわい、といっていいのかどうかためらわれるが、今の私の住まいしているとことは、含まれていない。しかし、長男の奥さんの実家とか、私が生まれたところとか、危険な地域ということになる。
2025年1月3日記
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