新常用漢字:「叱」の経緯2009-01-20

2009/01/20 當山日出夫

★以下のメッセージ、UTF-8の設定であれば、見えるはずです。ただ、私がためした範囲では、GoogleChromeでは、文字化けするようです。

「叱」の字は、二つある。(とりあえず、これを異体字とみて)。
(1)叱(1-28-24) U+53F1
(2)𠮟(1-47-52) U+20B9F

新常用漢字で、いずれの文字を示すか。すくなくとも、朝日新聞で掲載された文字(字体・字形)を見る限りでは。(2)の方である。

情報機器への対応ということであるならば、問題は、次の2点。

0208に準拠している、携帯電話では、(2)は、使えない。

0213(04)では、第3水準。しかし、Unicodeでは、「U+20B9F」の符号位置をみればわかるが、CJK統合 Ext.B の領域に属する。これは、ATOKでも、MSIMEでも、すぐにわかる。ようするに、とんでもない位置に、国際的には付合位置を与えられているということ。

国内規格(JIS X 0213:2004)では、第3水準、という、さほど特異ではない位置にある。しかし、国際規格(Unicode)での運用を考えると、Ext.B にポイントされる。

この文字、もともとの、0213:2000では、無かった字。規格票においても、使用しないとして、空白にしてある。ところが、2004の改訂で、追加された文字になった。区点位置としては、2000版で、空白であったところに位置。

このような経緯をふまえたうえで、新常用漢字の字体は、示されるべきだろう。

まずは、委員会の席上において、0208(97)、0213(00)、0213(04)、0221(07)の各規格票、さらには、『JIS漢字字典』と『増補改訂 JIS漢字字典』、これらを各自が持っていることが、そして、普通のXPマシンと、VISTAマシンが、それに携帯電話、あること・・・これが、最低限の要件だろう。すくなくとも、これからの情報機器に対応するものして、新常用漢字を決めようとするならば。

安岡さんがいかっているように、委員会の資料にあるごとく、「情報機器でも近い将来この字体に統一されると考えられる」、などということは、いくつかの文字については、かなりの問題がある。いや、問題を認識できていない。そもそも、こういう文字(あるいは、字体)を、入れるべきではない。

プリントアウトした漢字の調査一覧の順位をながめて、文字を決めようなどということは、そもそも無理なのである。ディスプレイで見えるか見えないか、すくなくとも、このプロセスが必須。でなければ、パブリックコメントが、大混乱状態になるのは必至である。

當山日出夫(とうやまひでお)

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