『西郷どん』あれこれ「不吉な嫁」 ― 2018-02-27
2018-02-27 當山日出夫(とうやまひでお)
『西郷どん』2018年2月25日、第8回「不吉な嫁」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/08/
前回は、
やまもも書斎記 2018年2月20日
『西郷どん』あれこれ「背中の母」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/20/8791072
う~ん、橋の上での妻・須賀のシーン、いいシーンだったけど、説明的すぎるかな。むしろ無かった方がよかったような気がする。ここで、須賀の気持ち、それから、西郷の人物像を語ることにはなっているのだが。それにしても、ややこしい性格の女性を演じると、橋本愛は実にいい。
この回で黒船がやってきた。で、興味深かったのは、白旗のこと。ペリーは、確かに日本(幕府)に対して白旗をおくっている。このことについては、本がある。
松本健一.『白旗伝説』(講談社学術文庫).講談社.1998
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061593282
また、さりげない台詞であったが、斉彬はペリー来航のことを、事前に知っていた。それは、琉球を通じてとのことであった。
確かに、ペリーは、日本に来る前に琉球によっている。ペリーが、どのような航路をたどって日本にやって来たかについては、以前に書いたことがある。
やまもも書斎記 2016年6月11日
ペリーはどうやって日本に来たのか
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/11/8108879
やまもも書斎記 2016年6月30日
西川武臣『ペリー来航』
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/30/8121187
当時、琉球を支配下に持っていた薩摩藩としては、琉球経由でペリー来航の情報を得ていた、というのは、あり得ることだと思う。
ちなみに、(ドラマには出てこなかったが)ペリーは、他に小笠原にもよっている。ここは、古来からの日本の領土(まあ、日本国政府としてはそのように主張することになるが)、というよりも、太平洋上の孤島であり、アメリカの捕鯨船などとの関係がふかかった。
『白鯨』のピークオッド号も、ペリーと同じような航路をたどって、日本近海にやってきている。
やまもも書斎記 2017年5月17日
『白鯨』メルヴィル(その三)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/17/8562384
ところで、このドラマのこの回で描いたのは、西郷の人物像である。斉彬のお供として、江戸に行けることになる。が、金がない。このあたり、供を命じた藩の方から、費用が出るのが普通ではないかと思うのだが、どうなのだろうか。
ともあれ、郷中の仲間の努力、それから、妻・須賀の献身によって、西郷は江戸に行けることになる。西郷という人物をささえることになる、鹿児島の人びとの思いが描かれていた。逆にいえば、周囲の人びとをそのようにさせてしまう西郷の人物像でもある。
その西郷は、島津家の家臣として、斉彬への忠誠心で行動する。まだ、西郷には、日本の国への意識……ナショナリズムといっておく……というものは見られない。しかし、斉彬は、世界の中の日本、そして、日本における鹿児島という視点でものを見ている。これから、西郷が、斉彬のお庭方として働くことで、その薫陶をうけて「日本」という国を意識するようになっていくのだろう。
おそらく、これからの西郷の行動の核になるものとしては、故郷の鹿児島に対するパトリオティズム(愛郷心)、島津藩における主君への忠誠心、そして、それを媒介にして「日本」という国についてのナショナリズム、これらの要素があることになると思っている。これら様々な感情が、一つの人格のなかに融合しておさまっているのが、西郷という人物の魅力である。
このような西郷の将来を象徴しているのが、
Cangoxina
のローマ字表記であると見る。故郷の「鹿児島」を「世界」の視点から見る、といってもいいだろうか。
さて、次回は、西郷が江戸に行くことになるようなのだが、はたして、ことばが通じるだろうか。このあたり気になるところである。まだ鹿児島にいる篤姫は、鹿児島ことばであった。この篤姫は、これからどんなことばを話すようになるのだろうか。
追記 2018-03-06
この続きは、
やまもも書斎記 2018年3月6日
『西郷どん』あれこれ「江戸のヒー様」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/03/06/8798469
『西郷どん』2018年2月25日、第8回「不吉な嫁」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/08/
前回は、
やまもも書斎記 2018年2月20日
『西郷どん』あれこれ「背中の母」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/20/8791072
う~ん、橋の上での妻・須賀のシーン、いいシーンだったけど、説明的すぎるかな。むしろ無かった方がよかったような気がする。ここで、須賀の気持ち、それから、西郷の人物像を語ることにはなっているのだが。それにしても、ややこしい性格の女性を演じると、橋本愛は実にいい。
この回で黒船がやってきた。で、興味深かったのは、白旗のこと。ペリーは、確かに日本(幕府)に対して白旗をおくっている。このことについては、本がある。
松本健一.『白旗伝説』(講談社学術文庫).講談社.1998
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061593282
また、さりげない台詞であったが、斉彬はペリー来航のことを、事前に知っていた。それは、琉球を通じてとのことであった。
確かに、ペリーは、日本に来る前に琉球によっている。ペリーが、どのような航路をたどって日本にやって来たかについては、以前に書いたことがある。
やまもも書斎記 2016年6月11日
ペリーはどうやって日本に来たのか
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/11/8108879
やまもも書斎記 2016年6月30日
西川武臣『ペリー来航』
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/30/8121187
当時、琉球を支配下に持っていた薩摩藩としては、琉球経由でペリー来航の情報を得ていた、というのは、あり得ることだと思う。
ちなみに、(ドラマには出てこなかったが)ペリーは、他に小笠原にもよっている。ここは、古来からの日本の領土(まあ、日本国政府としてはそのように主張することになるが)、というよりも、太平洋上の孤島であり、アメリカの捕鯨船などとの関係がふかかった。
『白鯨』のピークオッド号も、ペリーと同じような航路をたどって、日本近海にやってきている。
やまもも書斎記 2017年5月17日
『白鯨』メルヴィル(その三)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/17/8562384
ところで、このドラマのこの回で描いたのは、西郷の人物像である。斉彬のお供として、江戸に行けることになる。が、金がない。このあたり、供を命じた藩の方から、費用が出るのが普通ではないかと思うのだが、どうなのだろうか。
ともあれ、郷中の仲間の努力、それから、妻・須賀の献身によって、西郷は江戸に行けることになる。西郷という人物をささえることになる、鹿児島の人びとの思いが描かれていた。逆にいえば、周囲の人びとをそのようにさせてしまう西郷の人物像でもある。
その西郷は、島津家の家臣として、斉彬への忠誠心で行動する。まだ、西郷には、日本の国への意識……ナショナリズムといっておく……というものは見られない。しかし、斉彬は、世界の中の日本、そして、日本における鹿児島という視点でものを見ている。これから、西郷が、斉彬のお庭方として働くことで、その薫陶をうけて「日本」という国を意識するようになっていくのだろう。
おそらく、これからの西郷の行動の核になるものとしては、故郷の鹿児島に対するパトリオティズム(愛郷心)、島津藩における主君への忠誠心、そして、それを媒介にして「日本」という国についてのナショナリズム、これらの要素があることになると思っている。これら様々な感情が、一つの人格のなかに融合しておさまっているのが、西郷という人物の魅力である。
このような西郷の将来を象徴しているのが、
Cangoxina
のローマ字表記であると見る。故郷の「鹿児島」を「世界」の視点から見る、といってもいいだろうか。
さて、次回は、西郷が江戸に行くことになるようなのだが、はたして、ことばが通じるだろうか。このあたり気になるところである。まだ鹿児島にいる篤姫は、鹿児島ことばであった。この篤姫は、これからどんなことばを話すようになるのだろうか。
追記 2018-03-06
この続きは、
やまもも書斎記 2018年3月6日
『西郷どん』あれこれ「江戸のヒー様」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/03/06/8798469
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