『西郷どん』あれこれ「江戸のヒー様」2018-03-06

2018-03-06 當山日出夫(とうやまひでお)

『西郷どん』2018年3月4日、第9回「江戸のヒー様」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/09/

前回は、
やまもも書斎記 2018年2月27日
『西郷どん』あれこれ「不吉な嫁」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/27/8795151

西郷は、斉彬のお庭方になった。これから、斉彬の命をうけて江戸で働く西郷ということになるのであろう。直々に斉彬の薫陶をうけることになる。

この回では、これまでの伏線のいくつかが回収されていた。剣を持てなくなった西郷を励ました斉彬、家が貧しくて身売りすることになった少女(ふき)。

また、これからの江戸編(といっていいのだろうか)で大きな役割を果たすであろう登場人物がでてきていた。水戸の斉昭。井伊直弼。一橋慶喜。

その一橋慶喜……無論、最後の将軍となる人物であるが……と、西郷が顔をあわせることになるのが、品川の妓楼。そこには、薩摩から身売りして各地をながれて江戸まで来た女性(ふき)がいた。このあたりは、フィクションにちがいないのだが、面白い展開として描いてあったと思う。

興味深く思ったのは、品川の妓楼のセット。かなり凝ったつくりになっていた。池までつくってあった。これは、かなりコストをかけたとおぼしい。しかし、それにくらべると、江戸城のセットが、なんともショボい。NHKは、江戸城のセットをつくよりも、品川の妓楼のセットをつくる方に金をかけたと見える。

こまかなことになるが……江戸の西郷の部屋の壁にはってあった世界地図。大西洋がまんなかにあるものだった。北極と南極はないようだった。この当時の世界地図としては、このようなものだろう。が、この世界地図が西郷の部屋にあるということは、これから開国から維新にむかう時代のなかで活躍することになる西郷にふさわしいというべきか。

また、開国ということについていえば、鎖国か開国かという論点で論じるのもいいのだが、結局、開国ということになって、その結果として不平等条約を結ぶことになる、このところの問題点は描かれないようだ。後の歴史としては、開国したことも大きな歴史の転換点であったろうが、それと同時に、不平等条約ということも、きわめて大きな社会的、歴史的な課題になる。

このあたりのことについては、既に述べた。

やまもも書斎記 2018年2月3日
『明治天皇』(三)ドナルド・キーン
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/02/03/8781281

明治になってからの西郷を描くならば、不平等条約ということは重要なポイントになってくるはずである。

この回で印象的であったのは、回想シーン。少年の吉之助と斉彬。もう武士の時代は終わる。斉彬はそのように予見していたかのごとくである。たしかに、歴史の流れとしては、武士の時代を終わらせた立役者は、西郷隆盛ということになる。

その西郷に、お庭方を命じて、刀を与えたシーンもまた印象的であった。西郷の主君・斉彬への忠誠心が、いかんなく描かれていたと思う。西郷という人物は、斉彬への忠誠心から、その後、倒幕へと舵をきり、明治新政府を樹立することになる。封建的な主君の関係……忠誠心……と、近代国家のナショナリズムが、矛盾することなく一人の人格のなかにおさまっていた人物ということになる。

ところで、この回も、ことばをめぐっては、いろいろ面白い要素があった。それについては、改めて考えてみたい。

追記 2018-03-13
この続きは、
やまもも書斎記 2018年3月13日
『西郷どん』あれこれ「篤姫はどこへ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/03/13/8802495

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