『八重の桜』「池田屋事件」 ― 2025-06-09
2025年6月9日 當山日出夫
『八重の桜』 「池田屋事件」
高校生まで京都ですごしたので、三条通にある池田屋の跡にある石碑は馴染みのものであった。それから、ドラマとしては、これからのことになるが、佐久間象山の遭難の地の石碑もあった。
新撰組をどう描くかというのは、非常にむずかしいところかもしれない。もし、新撰組が活躍(?)しなかったら、幕末の歴史は変わっていたかもしれないだろう。だが、歴史の大きな流れは変わるものではないし、現在の歴史研究として、新撰組のことを、大きなテーマとして論じることは、ないだろう。
しかし、サブカルチャーの分野になると、話しはまったく逆である。新撰組ぐらい、幕末のヒーローとなる存在はない。これに匹敵するのは、坂本竜馬である。
沖田総司は、歴史の流れのなかでは、どうでもいい存在(と言っては、新撰組ファンに怒られるかと思うが)、庶民感覚の幕末維新の歴史ではヒーローである。そういえば、私が若いころ、沖田総司を主人公にした映画があったかと覚えている。黒木和雄監督の『竜馬暗殺』は私が高校生のときだっただろうか。ATGの映画である。(もう今ではATGというのは、映画の歴史の中の用語になってしまった。)
歴史学ではなく、文化史という立場から見るならば、新撰組や坂本竜馬、あるいは、西郷隆盛というような人物が、どう描かれてきたかということは、非常に興味のあるところである。ちなみに、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』では、坂本竜馬は、土佐方言を話していないし、『翔ぶが如く』でも、西郷隆盛は鹿児島方言で話していない。だが、これが、ドラマになると、方言で地域性を出すことになる。(日本語学でいえば、役割語、方言コスプレ、などの概念で考えることになる。)
この『八重の桜』ドラマとしてたくみだと感じるのは、尊皇(具体的には孝明天皇への忠誠)、江戸幕府と徳川慶喜への忠誠、会津の藩主である松平容保への忠誠、会津藩への愛郷心、さらには、日本という国家全体のことを考える視点、これらを、破綻無く、あるいは、それほど矛盾させることなく、描いていることである。この場合、どうしても損な役回りになるのが、幕府から逃げ出したという感じになってしまう徳川慶喜にはなってしまうだろうが。
2025年6月8日記
『八重の桜』 「池田屋事件」
高校生まで京都ですごしたので、三条通にある池田屋の跡にある石碑は馴染みのものであった。それから、ドラマとしては、これからのことになるが、佐久間象山の遭難の地の石碑もあった。
新撰組をどう描くかというのは、非常にむずかしいところかもしれない。もし、新撰組が活躍(?)しなかったら、幕末の歴史は変わっていたかもしれないだろう。だが、歴史の大きな流れは変わるものではないし、現在の歴史研究として、新撰組のことを、大きなテーマとして論じることは、ないだろう。
しかし、サブカルチャーの分野になると、話しはまったく逆である。新撰組ぐらい、幕末のヒーローとなる存在はない。これに匹敵するのは、坂本竜馬である。
沖田総司は、歴史の流れのなかでは、どうでもいい存在(と言っては、新撰組ファンに怒られるかと思うが)、庶民感覚の幕末維新の歴史ではヒーローである。そういえば、私が若いころ、沖田総司を主人公にした映画があったかと覚えている。黒木和雄監督の『竜馬暗殺』は私が高校生のときだっただろうか。ATGの映画である。(もう今ではATGというのは、映画の歴史の中の用語になってしまった。)
歴史学ではなく、文化史という立場から見るならば、新撰組や坂本竜馬、あるいは、西郷隆盛というような人物が、どう描かれてきたかということは、非常に興味のあるところである。ちなみに、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』では、坂本竜馬は、土佐方言を話していないし、『翔ぶが如く』でも、西郷隆盛は鹿児島方言で話していない。だが、これが、ドラマになると、方言で地域性を出すことになる。(日本語学でいえば、役割語、方言コスプレ、などの概念で考えることになる。)
この『八重の桜』ドラマとしてたくみだと感じるのは、尊皇(具体的には孝明天皇への忠誠)、江戸幕府と徳川慶喜への忠誠、会津の藩主である松平容保への忠誠、会津藩への愛郷心、さらには、日本という国家全体のことを考える視点、これらを、破綻無く、あるいは、それほど矛盾させることなく、描いていることである。この場合、どうしても損な役回りになるのが、幕府から逃げ出したという感じになってしまう徳川慶喜にはなってしまうだろうが。
2025年6月8日記
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