『いだてん』あれこれ「226」2019-09-10

2019-09-10 當山日出夫(とうやまひでお)

『いだてん~東京オリムピック噺~』2019年9月8日、第34回「226」
https://www.nhk.or.jp/idaten/r/story/034/

前回は、
やまもも書斎記 2019年9月3日
『いだてん』あれこれ「仁義なき戦い」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/03/9148788

この回は、タイトルのとおり二二六事件をめぐる顛末であった。

印象に残っているのは、次の二点だろうか。

第一には、おもてなし。

IOC会長が日本に視察にやってくる。ちょうど、そのときに二二六事件が起こる。このとき、田畑のいる新聞社もまた襲撃にあうことになる。幸い、そう大きな犠牲が出たということではなかったようだが。

二二六事件は、様々な史料が残っている。そして、ある意味では、「昭和維新」をさけんだこの事件の全貌は、いまだに明かでないとも言える。歴史的な位置づけも、定まってはいないのかもしれない。しかし、その後の歴史を考えるとき、この二二六事件が一つのおおきな歴史の転換点になっていることはたしかだろう。

その二二六事件と、IOC会長の来日が重なることになる。ここで、嘉納治五郎や田畑たちは、せいいっぱいの「おもてなし」をすることになる。関東大震災から復興した東京、神宮のスタジアム、そして、下町の子どもたち。また、嘉納治五郎のオリンピック招致への思い。結局、これらが、総合的にはたらいて、IOC会長のこころを動かしたようだ。

だが、今の我々は知っている。その一九四〇年(昭和一五年)のオリンピックは、結局は、開催されることがないことを。そのような知識をもって見るとはしても、もし、歴史の流れとして、東京でのオリンピック開催が実現していたら……それが可能になるような国際情勢……具体的には、支那事変、満州国への対応ということになるが……もし、そうだったら、その後の日本の歴史も変わっていたかもしれない。このような思いをいだいた。

第二には、熊本の四三の家族のこと。

嘉納治五郎から手紙をもらった四三は、東京に行きたいと家族につげる。それを、結局は、承諾することになるのだが、この時の、義母の幾江(大竹しのぶ)がよかった。どうしても東京に行きたい四三、それを思う、「家族」の気持ち、これを、うまく見せていたように思う。

以上の二点が、この回を見て印象に残っているところである。

ところで、次回は、ベルリンのオリンピックになるようだ。これは「民族の祭典」として歴史に名が残る大会になる。前畑秀子も出てくるだろう。そして、マラソンで金メダルをとることになる孫基禎も「日本人」として出場することになるはずである。このあたりどう描くことになるのか、おそらく、この『いだてん』というドラマにおける、最高のクライマックスになるにちがいない。楽しみに見ることにしよう。

追記 2019-09-17
この続きは、
やまもも書斎記 2019年9月17日
『いだてん』あれこれ「民族の祭典」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/17/9154523

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