時をかけるテレビ「焼け跡からの再生〜長田区鷹取東地区の1年〜」2025-01-16

2025年1月16日 當山日出夫

時をかけるテレビ 焼け跡からの再生〜長田区鷹取東地区の1年〜

神戸の震災から三〇年ということで、いろいろと特集番組があるが、これもその一つ。

見て思うことはいろいろとある。

まず、きれいに四角く燃えている(適切な表現ではないかもしれないが)、これは、周囲の延焼を防ぐことを消防の目的として、今、燃えている建物は、燃やしてしまうということの結果になるだろう(無論、そのなかにいる人を救助することは当然のこととして)。道路を境目として、それ以上に火災の範囲が広がることを、目的としたということがあったことになる。

このようなことは、一般に起こっている火災の消火活動についても、同じだろうと思う。

三〇年前のことなのだが、今になって、どれぐらい変わっただろうか。おそらく、土地の区画整理という作業については、デジタル技術を使っての計画の立案や、シミュレーション、ということはできるだろう。しかし、個々の土地の所有者の合意形成のプロセスということになると、はたして、どれぐらい法的な整備がなされたのだろうか。その土地の所有者が、災害の犠牲になったとして、その権利を誰がどのように継承しているかの確認、そして、地域の再開発への合意、これがより円滑にすすめられるようになっている……という話しは、あまり聞かないと思う。災害が起こった後の、復興や再開発までふくめて、防災ということだと思う。

言うまでもないが、神戸の場合、地元や近隣自治体の経済的な基盤があった。商店を再開したとして、そこにはお客さんが来てくれる、ということがあった。働き口を探そうとした場合でも、近くに働くところがあった。(こういうことは、おそらく、能登半島の災害と大きく違うところであろう。)

お米屋さんで働くことになった女性の時給が七〇〇円であった。三〇年前のことである。今の日本で、最低賃金がようやく一〇〇〇円を超えるかどうか、ということが話題になる。この間の、日本の経済はいったいどうなっていたのだろうと、思うことになる。

気になるのは、取材した地区の区画整理ということが、具体的にどのように進められたのか、どういう地元からの意見などがあり、それにどう自治体としてこたえていったのか、ということがある。場合によっては、裁判ということもあったかもしれないが、そこではどのような判断が示されたのだろうか。こういう部分が、実際には、これから起こるであろう災害への備えとして、重要なこと、少なくとも、災害後の復旧について重要なことの一つであるにちがいない。

2025年1月15日記

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