アナザーストーリーズ「月の石が盗まれた! 世にも奇妙なNASA窃盗事件」2025-06-21

2025年6月21日 當山日出夫

アナザーストーリーズ 月の石が盗まれた! 世にも奇妙なNASA窃盗事件

こういう話題なら、NHKでも、「ダークサイドミステリー」とか「フランケンシュタインの誘惑」とかでやってもいいかと思うが。あるいは、もう放送していて、私が知らなかっただけかかもしれないけれど。

月の石を盗もうと思った犯人もかわっていると思うが、共犯となった友達もまたかわっていると思う。こういうことは、犯罪心理学というような分野でとりあつかうことになるのだろうが。

見ていて一番気になったのが、月の石の入った金庫を、金庫ごと盗み出したのはいいとしても、それが簡単に破壊して開けたりできるものなのだろうか。ここは、ちょっと謎である。

月の石を買わないかと、ベルギーのコレクターに電子メールで連絡して、それをコレクターの男性が不審に思ったところから発覚し、おとり捜査ということでつかまった。結果から見ると、なんとも間抜けな犯罪である。だが、このとき、不審に思わないコレクターがいて、本当に信じて(たしかに、月の石は本物だったのだが)取引が成立していたら、この事件はどうなっただろうか。

犯人の元の妻という女性が映っていたのだが、(こういうことをいうと怒られそうだが)ちょっとこの奥さんとなら、あまりうまくいかなかったのかもしれないと感じるところがある。(偏見かなとは思うけれど。)

それにしてもアメリカという国は宗教的に頑固なところがあって、犯人の育った家庭では、結婚前の男女の性的関係は絶対にダメだったという。今どき、こんな人たちもいることも、また驚くことである。

検索してみると、『月の石を盗んだ男』として本になっている。ベン・メズリック、高山祥子訳、東京創元社、2014。

2025年6月17日記

ダークサイドミステリー「ブランチ・ダビディアン事件の悲劇 〜武装教団vs.警察 運命の51日間〜」2025-06-21

2025年6月21日 當山日出夫

ダークサイドミステリー ブランチ・ダビディアン事件の悲劇 〜武装教団vs.警察 運命の51日間〜

再放送である。最初は、2023年9月7日。

この事件のときのことは、覚えていない。大きな事件だから、ニュースにはなったと思うのだが。

ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)組織のことを初めて知った。かなり古くからある組織で、その経緯としては、禁酒法時代のアメリカということもあるらしい。

見ていて思うことは、何よりも、事件の対応にあたった組織がバラバラで、統一された指揮系統のもとで、方針を決めて動くということがなかったこと、その愚かさということになる。まず、ATFが対応にあたり、その後、FBIが出てきて、そのFBIにおいても、相手と交渉する部門と、強行に突入して制圧する部門とがあり、それぞれの連携がうまくいっていなかった。

これが、今だったら、どう対応することになるだろうか。

交渉によって解決の道をさぐるか、強行に制圧するか、両方の道を用意しておくとしても、そのどちらで、具体的にどう対応するかは、トップが責任を持って統一的に判断する、ということにはなるだろう。

テロリストとは交渉しない……これは、今の世界の常識だと思う。私が、このことを強く意識するようになったのは、1996年のペルーの日本大使館人質事件のときである。このとき、犯人と交渉することを優先する人たちと、政治と軍事のリアルで語る人たちと、議論が二分されていた。

相手の要求がはっきりしている場合には、交渉ということもありうることになるが、しかし、この事件の場合は、相手はカルト教団である。相手のいうことを聞いても、神様を持ち出して、ゴールポストを動かされる懸念がある。

それにしても、ボタンの掛け違いというか、最初のつまづきが後々の惨事をまねくことになったことは確かであろう。

この事件への当局の対応も問題があったことになるが、それよりも興味深いのは、アメリカにおいて、聖書を文字通り信じる人びとがいて、この世の最後があることを考えている……アメリカが宗教的に古風で頑迷なところがあることは、今では、知られていることであるが、それがカルト教団として、人びとを引きつけていることもある。現代のアメリカ社会の、このような面を改めて確認したということにもなる。

また、その気になれば、武器弾薬を大量に確保できるのも、アメリカならではのことである。

解説のなかで面白いと思ったのは、カルト教団といっても、強固なルールでメンバーが出ていくことを禁ずるよりも、自由に残りたい人が残るという組織の方が、強く生きのこることになる。外部から攻撃され否定されたときの、認知的不協和の低減ということに専門的にはなるらしいが、なるほどそういうものかと思う。

この事件も現代だったら、ソーシャルメディアでいろいろと議論されるところだろうし、教団の建物の中からの実況ということもあるだろう。新しいメディアの時代における、このような事件への対応は、さらに難しくなっているかとも思う。

2025年6月13日記

BS世界のドキュメンタリー「“チェーンソー”改革の現在地 アルゼンチン 国家縮小の陰で」2025-06-21

2025年6月21日 當山日出夫

BS世界のドキュメンタリー 「“チェーンソー”改革の現在地 アルゼンチン 国家縮小の陰で」

2024年、フィンランドの制作。

アルゼンチンについては、ほとんど知るところがない。南アメリカの国であり(場所ぐらいは分かるが)、近年になってグローバルサウスの国の一つとして存在感が増してきている国、というぐらいである。

ミレイ大統領になったときのことは、ニュースで見たと記憶しているが、実際にどのような政策をおこなっているのか、ということについて日本であまり詳しく報じられることはないかと思っている。

番組を見ていると、非常に強引な政策を断行している。極端な緊縮財政といっていいのかと思う。その結果、国家として貧困層の拡大ということがある。だが、番組でいっていた程の大改革をしていて、困っている人たちが多くいる……ということのわりには、市内の様子としては平穏であり、暴動が起こるようなこともない。(これは、そのような場面を写していないだけかもしれないが。)

タクシーの運転手の男性は、ミレイ大統領のことを支持している。少なくとも、今すぐにでも辞めて政権交代ということは望んでいない。タクシー運転手の仕事がなりたつということは、都市部においては、そこそこの人の活動があるということなのだろう。

描いていたのは都市部の人びとが多かったようだが、地方の農村部というあたりでは、いったい人びとはどう思っているのだろうか。

番組の内容として、現在のミレイ大統領のことと、過去の軍政のときのこととが、うまくつながっていないように感じる。ミレイ大統領が軍と関係があることはたしかなのだろうが、だからそれがすぐに、軍による横暴とつながることになるかというとそうでもないようである。その危険があるということにとどまっている。

2025年6月19日記