『日本語ヴィジュアル系』2009-02-14

2009/02/14 當山日出夫

秋月高太郎.『日本語ヴィジュアル系-あたらしいにほんごのかきかた-』(角川oneテーマ).角川書店.2009

記述的な立場から(規範的ではなく)、現代の日本語表記、とくに、その仮名(平仮名・片仮名)、句読点、記号、などについて、記してある。絵文字は、メインの対象ではないが、顔文字、また、アスキーアート、にも言及がある。

この本の趣旨は、後書きの次の記載に要約される。

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ことばにおいてもレイアウトは存在する。それは、書きことばにおける文字の組み方という作業工程だけでなく、話し手や書き手が、どのようなことばを、どのように使うことによって、どのようなことを伝えようとするのかという意味においてである。同じことばであっても、レイアウトが異なれば、異なったイメージを伝える。(中略)

ことばもまた、話し手自身が意図するしないにかかわらず、レイアウトなしに存在しえない。ある人々には「奇妙」あるいは「誤った」と眉をしかめられるようなことば遣いについても、レイアウトは存在する。
(p.260)

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たとえば、外来語(英語)の表記で、「suite」をどう、カナで書くか。
suite room を 「スイートルーム」「スウィートルーム」「スィートルーム」、いろんな書き方が現実に存在する(p.128)

また、「不満っっ」のような表記。促音「っ」の過剰な表記。(この促音の「っ」を単独で入力するのも、困る。むか~し、松茸がFEPのころは「シフト+TU」、ATOKでは「LTU」、この癖がいまだに抜けない。いま、この文章を書きながら、ATOK2009の変換設定を変更した)。

ところで、いま、まさに書いた「むか~し」の「~」(波ダッシュ)の使用も、その一例。

表記のレイアウト、という視点をひろげれば、「ひらがな」「カタカナ」「漢字」があり、また、それぞれに、書体(フォント)がある。通信において、文字符号によって、文字概念だけを送信する(JIS規格漢字がまさにこれである)、これから一歩先に進んで、フォントデータも同時に送信可能になると、このレイアウトの幅はひろくひろがる。

ともあれ、このような、方向のもとに、情報化時代の漢字はある。では、新常用宇漢字表(仮称)は、情報化時代にせまることが可能であろうか。これからの情報通信と文字は、文字概念の通信ではなく、フォントデータもふくむものに変わっていく可能性を、考慮しなければならないだろう。このとき、文字の字体とは何であるのか。

當山日出夫(とうやまひでお)

追記 2009/02/17
情報化字体→情報化時代 訂正。

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