『玻璃の天』:帝国図書館と複写2009-09-21

2009-09-21 當山日出夫

『玻璃の天』(北村薫、文春文庫、ベッキーさんのシリーズ)
もう、この本については、いろんな人が書いているだろうから、ちょっとだけ。

『天国に結ぶ恋』『大学は出たけれど』、何の注釈もなしに、そのまま本文中に使ってある。分かる人は分かればいい、ということなのだろうが。

ところで、昔の帝国図書館、閲覧も、男女別々だった、ということには、いささか驚いた。近代図書館史の知識の無さを暴露するようなものかもしれないが。

その中の記述。それまでは、複写(コピー機)が無かった。筆写するか、写真にとるか。そこに、ドイツのシーメンス・シュッケルト株式会社の複写機が導入されたとある。たったの10分で、写真撮影から、原像・焼き付けまでやってしまう、最新鋭機だったらしい。

いまなら(これから)グーグルブックスから、マウスひとつで、コピペ。

ところで、このベッキーさんのシリーズ、参考文献の一覧がある。『街の灯』には、中に『迷路』(野上弥生子)がある。実は、岩波文庫版で読み始めて、途中で、挫折している(学生のころ)。にもかかわらず、この本、いったいどのあたりに参考文献としてつかったんだろうと思ってしまう。

當山日出夫(とうやまひでお)