電子図書館とグーグルブックス:ヨーロッパは複雑怪奇2009-09-09

2009-09-09 當山日出夫

そういえば、むかし、欧州の情勢について複雑怪奇と言った政治家がおりましたが、さて、今のヨーロッパにおける電子図書館をめぐる動きは・・・

Twitterでtsysobaさんが、書いておいでのことを、説明文を引用してならべますと、(以下、すべて、国会図書館カレントアゥエアネスによります)。

(1)
EU、欧州デジタル図書館“Europeana”の収録点数を1000万点へ倍増させると発表(8月31日)
http://current.ndl.go.jp/node/14238

>>>>>
欧州連合(EU)はプレスリリースで、欧州各国によるデジタル図書館“Europeana”の収録点数を現在の約460万点から、2010年までに 1000万点に増加させると発表しています。それに伴う著作権問題等についての協議を2009年11月15日までの期間で行うとのことです。プレスリリースの中で、欧州委員会の情報社会・メディア担当のViviane Reding氏は、EU加盟国でデジタル化された資料の5%しかEuropeanaで見られないこと、資料の約半数は一つの国(フランス)が提供していることなどを指摘し、他の国の協力を呼びかけています。
<<<<<

(2)
フランス国立図書館とGoogleの連携をめぐる動向(9月2日)
http://current.ndl.go.jp/e969

>>>>>
フランス国立図書館(BNF)は,Googleブック検索プロジェクト(現在は「Goolgeブックス」としてサービスを提供)に以前は懐疑的であった。ジャンヌネー(Jean-Noel Jeanneney)BNF前館長は,『Googleとの闘い』という書籍を著し,Googleという米国の一企業による書籍文化の独占に対し異議を申し立てていた。しかし,2009年8月,BNFが,Googleと書籍のデジタル化の領域での提携交渉を進めていることが明らかとなった。
(以下、中略)
<<<<<

(3)
欧州委員会、本のデジタル化についての会議を開催(9月8日)
http://current.ndl.go.jp/node/14385

>>>>>
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(European Commission)は、2009年9月7日・8日の日程で、本のデジタル化に関する会議を開催しています。7日には、Googleブックスの和解案等についてもヒアリングが行われたとのことです。会議に先立って公表されたプレスリリースでは、著作権に留意することが必要であるとしながらも、デジタル化をすすめる手段として、公共部門と民間部門の協同について言及しています。また、デジタル時代に応じた著作権制度の整備の必要性も主張しています。
<<<<<

おおよそのところは、グーグルに全部の利権をコントロールされてしまうのは、いやだ。かといって、それぞれの国で独自にでは、らちがあきそうにない。ここは、

1.グーグルと組んでできるとこ、グーグルにまかせること
2.EUとしてどう対応するか
3.個別の国(ここであがっているのはフランスですが)としてどう判断するか

このあたりが、微妙に錯綜しているように思えます。また、最後に残る問題としては、やはり個々の著作権者の立場、ということになるのでしょうか。

これに、日本の状況、グーグル、国会図書館(デジタル化)、日本文藝家協会などをならべてみますと、まさに、複雑怪奇。

當山日出夫(とうやまひでお)