『青天を衝け』あれこれ「栄一、目覚める」2021-02-16

2021-02-16 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第1回「栄一、目覚める」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/01/

新しいドラマは二月からのスタートである。これも事情を考えればやむをえないことなのだろうが、はて、これは年内で終了になるのか、とふと気になったりもする。

以前、学生にデジタルアーカイブの話しをするとき、渋沢栄一のことに触れていた。渋沢栄一は、直接は関係ない。むしろ学生に教えておきたかったのは、渋沢栄一記念財団の活動である。

渋沢栄一記念財団
https://www.shibusawa.or.jp/

ここは、二つの意味で、デジタルアーカイブに関係してくる。

第一には、渋沢栄一関係の資料のアーカイブである。多くの渋沢栄一に関係する資料の公開を行っているのだが、やはり特筆すべきは、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』であろう。

デジタル版『渋沢栄一伝記資料』
https://eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/digital/main/

これまで大河ドラマの登場人物などについては、その伝記の詳細が不明な場合が少なくなかったと思う。前回の『麒麟がくる』では、光秀の前半生……信長につかえるまで……については、分かっていなかったことのはずである。それが、渋沢栄一については、かなり細かな伝記資料が残されている。(まあ、それだけ、ドラマにおいてはフィクションの入りこむ余地が少なくなるということなのであろうが。)

第二には、企業の資料のアーカイブである。日本の会社、企業について、ビジネスアーカイブという視点から、その情報発信を行っている、たぶん日本で唯一の存在といってよいだろう。アーカイブというと、近年では公文書の保存が問題とされることが多いが、企業資料についても、アーカイブの必用性がある。

主に、以上の二つの視点から、渋沢栄一記念財団のことは、講義でとりあげてきたものであった。

このようなこともあって、渋沢栄一については、ざっくりとした知識は持っているつもりではいる。学生に話しをするとき、渋沢栄一のような人物が、どうしてNHKの大河ドラマの主人公にならないでしょうかねえ……などと語ったこともあった。その渋沢栄一が、ついに主人公になるということは、どことなく感慨深いものがある。

さて、第一回を見て思ったことである。

第一には、徳川慶喜のかっこよさであろうか。おそらく、これまでの大河ドラマで描かれてきたどの慶喜よりも、かっこいいと感じる。(最近では、『西郷どん』の慶喜のことが思い浮かぶ。)

第二には、栄一の幼少時代を描いていたが、血洗島の村の描写である。藍作りであり、養蚕であり、山野であそぶ子どもたちであり、村人の生活であり……これらが、丁寧に描かれていたと思う。この栄一という少年が、これから、幕末から明治にかけて、日本の社会に大きくかかわっていくことになるのだが、第一回では、普通の村の子どもという印象である。

以上の二点が、とりあえず第一回を見て思ったことなどである。

余計なことを書いてみるならば……水戸藩の軍事演習のシーンで予算をつかってしまったせいなのだろうか、どうも江戸城の場面がショボかったように思えてならない。

さらに書けば、冒頭の家康の登場は、どうだろうか。私は、無くてもよかったような気がする。むしろ、家康よりも印象深かったのは、最後の方で出てきていた高島秋帆である。幕末を生きる存在感がしっかりとあった。

次週、さっそくペリー来航となるようだ。幕末の動乱の時代に突入することになる。栄一が、どのように成長していくことになるのか、楽しみに見ることにしよう。

2021年2月15日記

追記 2021-02-23
この続きは、
やまもも書斎記 2021年2月23日
『青天を衝け』あれこれ「栄一、踊る」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/02/23/9349901

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