BSスペシャル「祖父への旅 80年後の傷痕 〜インドネシア残留日本兵と子孫〜」 ― 2025-06-19
2025年6月19日 當山日出夫
再放送である。最初は、2025年1月23日。
インドネシアの独立戦争(対オランダ)において、旧日本軍の軍人や兵士たちが、一緒に戦ったということは、広く知られていることだと思っている。たしか、インドネシアの独立の文書の年紀は、皇紀で書かれているはずである。
軍のなかでも、敵や一般の人びとのなかにいるスパイなどを相手とする特殊な任務があることは当たり前のことであるが、このような部門で仕事をする軍人などは、支配する側、抵抗する側、その両方の事情に通じている必要がある。このようなことの典型的な人物として、私が、まず思いうかぶのは、明石元二郎である。日露戦争のとき、ヨーロッパにおいて帝政ロシアに対する革命運動を支援し(ただ、これも過大に評価してはならないかもしれないが)、その後の経歴としては、台湾総督になっている。日本からの独立の運動を弾圧する側にまわったことになる。
こういう意味で、黒岩通という人物が、インドネシアの占領統治にかかわる仕事の後に、現地に残り独立運動に尽力したということは、そういうこともあるだろうと思う。
このとき、日本のインドネシアの占領ということが、大東亜共栄圏という名前のもとに行われたとしても、その実態は、オランダに変わっての植民地支配の継続であったということは否定できないことであり、むしろ、大東亜共栄圏、大アジア主義の理想を強く持っているからこそ、さまざまに思うところがあったのだろうと思う。
この人がいったい何を考えていたのか、日本に帰国してからどのような活動をしていたのか、調べれば興味深いところがたくさんあるかとも思う。しかし、今となっては、それらは歴史の闇のなかに忘れられていってもいいことのように思う。(このように思うというのも、私自身が、もう老人ということもあるだろうが。)
頭山立國が登場してきていた。頭山満の孫であるが、検索してみると、かつての大アジア主義の系統をひく活動がいまも継続しているらしい。この思想の流れは、意味のあることだろうと思うし、基本的な発想として、「民族」や「国家」の枠をこえて団結しようという気持ちは、それなりに理解できるものである。強いていえば、現在のいわゆるリベラルの主張のなかにも、こういう基本的な考え方は通底するものがあると感じている。
インドネシアという国家が、その独立にいたる経緯をどのような「歴史」として描くことになるのか。そのなかで、日本とのかかわりをどう意識することになるのか、これも興味深い論点ということになる。
2025年6月18日記
再放送である。最初は、2025年1月23日。
インドネシアの独立戦争(対オランダ)において、旧日本軍の軍人や兵士たちが、一緒に戦ったということは、広く知られていることだと思っている。たしか、インドネシアの独立の文書の年紀は、皇紀で書かれているはずである。
軍のなかでも、敵や一般の人びとのなかにいるスパイなどを相手とする特殊な任務があることは当たり前のことであるが、このような部門で仕事をする軍人などは、支配する側、抵抗する側、その両方の事情に通じている必要がある。このようなことの典型的な人物として、私が、まず思いうかぶのは、明石元二郎である。日露戦争のとき、ヨーロッパにおいて帝政ロシアに対する革命運動を支援し(ただ、これも過大に評価してはならないかもしれないが)、その後の経歴としては、台湾総督になっている。日本からの独立の運動を弾圧する側にまわったことになる。
こういう意味で、黒岩通という人物が、インドネシアの占領統治にかかわる仕事の後に、現地に残り独立運動に尽力したということは、そういうこともあるだろうと思う。
このとき、日本のインドネシアの占領ということが、大東亜共栄圏という名前のもとに行われたとしても、その実態は、オランダに変わっての植民地支配の継続であったということは否定できないことであり、むしろ、大東亜共栄圏、大アジア主義の理想を強く持っているからこそ、さまざまに思うところがあったのだろうと思う。
この人がいったい何を考えていたのか、日本に帰国してからどのような活動をしていたのか、調べれば興味深いところがたくさんあるかとも思う。しかし、今となっては、それらは歴史の闇のなかに忘れられていってもいいことのように思う。(このように思うというのも、私自身が、もう老人ということもあるだろうが。)
頭山立國が登場してきていた。頭山満の孫であるが、検索してみると、かつての大アジア主義の系統をひく活動がいまも継続しているらしい。この思想の流れは、意味のあることだろうと思うし、基本的な発想として、「民族」や「国家」の枠をこえて団結しようという気持ちは、それなりに理解できるものである。強いていえば、現在のいわゆるリベラルの主張のなかにも、こういう基本的な考え方は通底するものがあると感じている。
インドネシアという国家が、その独立にいたる経緯をどのような「歴史」として描くことになるのか。そのなかで、日本とのかかわりをどう意識することになるのか、これも興味深い論点ということになる。
2025年6月18日記
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