私的「じんもんこん2007」覚え書き(8)2007-12-30

2007/12/30 當山日出夫

年内に、この覚え書きも最後までたどりつくだろうか、不安になる。

さて、二日目、ポスター発表の後、どの会場に行こうか。B会場(2階)に行くことにする。

まず、尹(イン)さんの発表。 浮世絵レンダリングのための和紙繊維モデル構築

尹さんは、立命館の田中弘美先生の研究室で、精力的に研究している。先ほどのポスター発表のときも、龍谷大学の坂本さんに、熱心に質問していた。IDPが対象とする敦煌文献の紙と、尹さんがあつかっている日本の江戸時代の浮世絵用の和紙とを、同列に論ずることはできない。しかし、古典籍や浮世絵などのデジタル・アーカイブにおいて、まず紙が重要である。紙という素材をデジタル化資料のなかで、どう考えるか、今後の大きな課題であると思う。

次が、龍谷大学の若間俊旭・岡田至弘さんによる、劣化画像解析による古地図におけるランドマークの先鋭化

この発表……聞いていて、かなりの疑問を感じた。質疑のときに、すこし発言したのだが、ここで確認しておきたい。

画像がデジタルになる、簡単にいえば、デジカメの普及によって、忘れられてしまったことがある。それは、昔の、白黒写真は、たんなくグレースケール画像ではない、ということである。使用したフィルムによって、光の波長に対する感光度はちがう。すべての可視光領域について、同じように反応しているわけではない。

昔の白黒写真フィルムをなにがしかデジタルの世界であつかおうと思うならば、まず調べるべきは、使用してあるフィルムの種類と、その感光特性でなければならない。

色彩の表示系でいえば、HSVの「V」、Labの「L」の数値に、単純に還元できるものではない。

このようなことは、知識というよりも、経験的なものだろう。昔、フィルム写真で、現像やプリントなど実際にやったことのある人間なら、経験的・直感的に知っている。はじめから、写真=デジカメ、という世界で育ってしまうと、このような経験的な感性が失われていく。

當山日出夫(とうやまひでお)

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