『西郷どん』あれこれ「龍馬との約束」2018-08-21

2018-08-21 當山日出夫(とうやまひでお)

『西郷どん』2018年8月19日、第31回「龍馬との約束」
https://www.nhk.or.jp/segodon/story/31/

前回は、
やまもも書斎記 2018年8月14日
『西郷どん』あれこれ「怪人 岩倉具視」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/08/14/8941460

今回の見どころは、薩長同盟のゆくえ、というところだろうか。

歴史的考証はともかくとして、このドラマでは、薩長同盟は、薩摩の、それも、西郷の発案にかかるものとして描いてある。これはこれとして歴史の見方である。では、薩長同盟において、坂本龍馬のはたした役割とは何か、ここのところが気になる。

亀山社中、いわば総合貿易商社のようなものなのだが、これをつかって、商いをする、その商いの対象として、長州に武器を売る、という役割のようだ。また、長州の桂小五郎と、西郷吉之助をひきあわせようと尽力する。ある意味では、坂本龍馬は、封建的身分秩序、幕反体制の外側にいるアウトローとして登場している。

だが、一橋慶喜の方も、そう簡単に幕府をつぶすようなことにはしない。徳川の世を担ってきた自負があるという描き方であった。

そのような西郷吉之助……薩長同盟をめぐってうまくいかない……を、陰で支えるのは、やはり、盟友となる大久保一蔵ということになっていた。薩長同盟の意義というよりも、西郷という人物に惚れ込んでの判断であるようである。

ところで、このドラマを見ていて気になることがいくつかある。それは、何故、薩長同盟ということになるのか、という根本の理由である。幕府には日本の統治能力が無いとして、見切りをつけるまではいい。だが、それにかわる次の日本の姿をどう構想するかとなると、ただ、薩長が手を組んで幕府を倒せばいい、ただ、それだけのように見える。

幕府を倒した後にどうするのか、今の時点で、次の時代が見えている登場人物はまだいないようである。これでは、幕府がたおれた後のどさくさまぎれに明治政府ができることになるかのごとくである。

歴史の先を見通していた人物としては、坂本龍馬とか、勝海舟とか、が思い浮かぶところであるが、どうも、このドラマでは、そのような役割は与えられていないようである。これからどのようないきさつで、幕府瓦解の後、明治新政府が樹立されることになるのか、ここをどう描くか気になる。

それから、気になるのは、武士の社会における秩序。一橋慶喜からすれば、西郷は、陪臣になる。直接、公式の場面で話しをするというのはどうなのだろうか。これが、品川の妓楼で話しをするのならわかるのだが。いや、普通の武士の身分秩序なら対等に話し合えない人びとが、交わることのできる場面として、品川の妓楼が設定されていたのではなかったのだろうか。

ともあれ、いよいよ次週、薩長同盟ということになるようである。楽しみに見ることにしよう。

追記 2018-08-28
この続きは、
やまもも書斎記 2018年8月28日
『西郷どん』あれこれ「薩長同盟」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/08/28/8951670

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