『半分、青い。』あれこれ「生きたい!」2018-08-26

2018-08-26 當山日出夫(とうやまひでお)

『半分、青い。』第21週「生きたい!」
https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/story/week_21.html

前回は、
やまもも書斎記 2018年8月19日
『半分、青い。』あれこれ「始めたい!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/08/19/8945341

和子さんが死んでしまった。この週は、和子さんの週であったといってもよい。今週のポイントは、次の二点かと思う。

第一に、和子さんの病気と死。

余命いくばくもないという状態の和子さん。それを気遣う周囲の人びと。鈴愛も、鈴愛なりの立場で和子さんのことを思っている。その一つが、岐阜犬の声。岐阜犬の声を和子さんに頼むということは、鈴愛なりの和子さんへの思いなのであろう。

先週、仙吉さんが死んだのとは、また違った感じで、和子さんの死がじっくりと描いてあった。一週間をほとんど使ったといってもよい。〈死〉というよりも、〈死〉を目前にした、和子さんをめぐる周囲の人びとの心遣いを、丁寧に描いていたと見るべきである。

特に最後に近いところで、岐阜犬の向こうにいる和子さんと律の対話のシーンがよかった。面と向かって話すのではなく、岐阜犬を介しての間接的な会話であったが、それがよりいっそう、律の和子さんへの愛情を表現することになっていた。

第二に、鈴愛と律の関係。

和子さんが病気ということで、律は名古屋勤務ということになっていた。その律も、和子さんが死んでしまえば、大阪にもどることになる。再び、鈴愛と律は分かれることになる。

この鈴愛と律との関係は、何なのであろうか。ただの友達でもない。それ以上の何かのようである。だが、律は結婚して子どももいる。鈴愛も、離婚はしているが、カンちゃんがいる。それでも、昔からの幼なじみの関係は、続いている。

ところで、自らの死を感じた和子さんが、律の母子手帳、育児日記などを、託したのは、律の妻のより子ではなく、鈴愛の方にだった。和子さんにとっても、鈴愛は、律の特別の何かなのである。

以上の二点、和子さんの死と、律と鈴愛の関係、これをたくみにじっくりと描いた週であったと思う。

ただ、このドラマは、時代背景ということをあまり描かない。バブル崩壊後の時代、地方の商店街はシャッター通り化していてもおかしくない。ふくろう商店街は、大丈夫なのであろうか。また、写真館という仕事も無事に続けることができていたのだろうか。

次週、物語は大きく展開するようだ。楽しみに見ることにしよう。

追記 2018-09-02
この続きは、
やまもも書斎記 2018年9月2日
『半分、青い。』あれこれ「何とかしたい!」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/09/02/8954703