Asia Insight「中国 仮想恋愛に生きる女性たち」2025-02-25

2025年2月25日 當山日出夫

Asia Insight 中国 仮想恋愛に生きる女性たち

今の時代、こういう女性たちがいてもおかしくはないと思うのだが、中国では、その市場規模はかなりのものになっているらしい。これも、もうちょっとすると、女性が結婚しない理由として、当局が規制に乗り出しても、これもおかしくはない。女性向けの、乙女ゲームがあるのだから、当然、男性向けの恋愛ゲームがあってもいいだろう。

リアルな社会で、実際の男性では満足できず、バーチャル世界でのことの方に充足感を覚える……ちょっと考えると、(私の感覚としては)病的とも感じるのだが、今の時代において、若い人たちが、このような感覚をいだくようになることは、たしかにあるのだろう。

現実の世界においては、自分は全肯定されない、しかし、バーチャル世界なら、自分を全肯定してくれる相手がいる。しかし、実際のリアルの世界において、人の全肯定も全否定も、そうあることではなく、程度の問題かなと思うところもあるのだが、今の中国社会の若者の感覚では、自分が全肯定される世界でなければ生きていけないということになっているのだろう。

親が自分のことを全肯定してくれない、といいながら、一緒に画面のなかに収まっている光景は、奇妙な印象を与える。少しでも不満があると、自分が全面的に否定されたように感じてしまうということなのかもしれないが、これはこれで、いささか問題があるようにも感じる。世の中、適当に折り合いをつけていきながら、人間は生きていくものだ、という感覚にはなれないのだろうか。

そうはいっても、月に20万の収入がありながら、親と一緒に生活していて、自立できていないと責められるのは、周囲の人びとの問題かもしれないし、本人の気持ちの持ち方の問題かもしれない。

その年齢なら普通なら結婚して子どももいる……ということは、そう親が思うことはあっても、はっきりそう言うことではないようにも思える。日本でも、特に地方に住む女性については、いろいろと言われることではあるが、都市部では、普通はそこまで露骨に言うことはないだろう。

コス委託というのは、まあ、そういう需要があるのだろうとは思う。しかし、これに収入のほとんどをつぎ込んでしまうというのも、ちょっとどうかなと思う。だが、日本で問題になっているように、ホストに入れあげて売春させられるようなことを思えば、この範囲で済んでいるというのは、まともといっていいのだろうか。(番組には出てきていなかっただけで、裏でどんな関係があるのか、こういうことが明るみに出ることは、容易なことではないのかもしれない。)

ともあれ、今の若い人たちが、自分を全肯定してくれる相手でなければ満足できない、というのは、これからの社会にとって、いいことなのかどうか。もし、対策を考えるとするとしても、もう遅いかもしれない。

ところで、乙女ゲームの向こう側にいるのは、人間(プログラマ)なのだろうか、それとも、今ではAIなのだろうか。

2025年2月19日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2025/02/25/9757063/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。