『独学の精神』2009-05-06

2009/05/06 當山日出夫

前田英樹.『独学の精神』(ちくま新書).筑摩書房.2009

私も、この本の著者と同様に、職人さんの仕事を見るのが好きである。我が家は、10年ほど前に立て替えた。そのとき、ほとんど、毎日、大工さんの仕事を見ていた。中で一番感心してしまったのは、床の間を組み立てる(まさに、組み立てる、としか言いようがない)ところ。

3次元空間をイメージできる能力がないと、大工さんはつとまらないな、と感じた。

さて、『独学の精神』は、昔、多くの小学校にあった(私の通った小学校にもあった)二宮尊徳の、薪を背負って本を読むすがたの、読解からはじまる。なぜ、人は学ぶのか、学ぶ価値があるものとはなんであるか。終始徹底して、学ぶとは何であるかを、問いかけつづけて、一冊の新書本にした、という本である。

どんなにすぐれた先生がいようと、学ぶと覚悟を決めたからには、一人で学ぶしかない。いや、逆にいえば、すぐれた教師は、学生に、一人で学ばせる。(いま、そんなことやったら、先生は何も教えてくれません、授業料返せ、とクレームがつく。)

著者は、「まえがき」で、こう記している。

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ほんとうに大事なことは、何ひとつ教えることができない。この自覚のないところに、教育があるだろうか。(p.8)
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E-ラーニング、など考える暇があったら、ものを学ぶとはそもそも人間にとってどういうことなのか、考えてみた方がよい。

當山日出夫(とうやまひでお)

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