カラーでよみがえる!大河ドラマ第1作「花の生涯」2023-02-18

2023年2月18日 當山日出夫

カラーでよみがえる!大河ドラマ第1作「花の生涯」

私の記憶、体験の範囲でいうと「花の生涯」は見たことはない。だが、名前は知っている。NHKが、その残っている資料から第一回の放送をカラー化したものである。

思うことはいくつかある。

第一に、画面の構図、役者の台詞などが、古風なことである。古風というとちょっと言い過ぎかなとも思うが、ちょっと今のドラマの作り方とは違う。むしろ、映画に近いだろうか。昭和三八年というと、まだまだ映画に勢いのあった時代である。テレビの制作と映画の制作と、どのような関係があったのか、これは、テレビ史、映画史、双方にまたがる研究が必要なところだろう。

見ていて、使っていないと思ったことばが、「申される」である。規範的な敬語の用法からすれば誤りということになるが、これが最近のドラマでは多くつかわれる。しかし、「花の生涯」では使っていない。

第二に、強いてカラー化すると無理があるのではということである。テレビは白黒で撮っている。この時、白黒の画面において適切な階調になるように衣装やセットなどは作ってあったのかもしれない。白黒のテレビ画面で、白いものとして白く見えるようにするためには、実際には白ではなかった可能性がある。このあたりの考証がどうなっているのか、ちょっと気になるところではあった。

時代考証として、幕末の色を再現するということなのか、実際の撮影現場で使われた衣装などの色を再現するのか、これはちょっと方向が違うことになる。

以上のようなことを思ってみるのだが、しかし、大河ドラマの第一作の第一回の放送として、非常に見応えのあるものを作っていたものであると、感心するところがかなりあった。このドラマ、NHKがかなりちからをいれて作ったことが分かる。

登場していた役者のなかでは、やはり淡島千景がいい。

2023年2月10日記