新常用漢字:しんにゅうのてん2009-01-09

2009/01/09 當山日出夫

今日(2009/01/09)の『朝日新聞』(大阪版、朝刊)に、白石明彦(編集委員)による、「新常用漢字表(仮称)」についての解説記事がのっている。

主な論点は、「しんにゅう」の「てん」を一つにするか、二つにするかの問題。具体的には、現時点での候補案の文字では、次の字が該当するという。

遡 遜 謎

これらのことについては、小形さんのブログ「もじのなまえ」に、すでに詳しく記されている。

もじのなまえ
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/

基本的なところで、いわゆる「許容三部首」(しんにゅう・しめすへん・しょくへん)が、まず、印刷標準字体との関係で問題になる。ただ、このようなことは、関係者にはすでに周知のことではある。それを、わかりやすい形で、新聞で報じたというのは、今回の白石さんの記事が、最初ではなかろうか。(すでに、別の一般的なメディアで報じられているようであれば、御教示ねがいたい。)

ところで、この記事を書いた白石さん、問題が、「しんにゅう」の「てん」の数ではとどまらないことを、よく分かって書いている、と読める。記事のなかの次の箇所、(なにげない記述のように見えるが、みすごせない。)

>>>>>
追加字種で表現するならば「嵐」のような進「捗」(しんちょく=ルビ)状況だ。
<<<<<

この箇所の「捗」の字。よく見ればわかるが、右側の部分が、「歩」ではない。常用漢字体の「歩」よりも、一画すくない、いわゆる旧字体の方である。部分字体の整合性は、このような箇所にも及ぶ。

次の委員会は、16日。それから、パブリックコメント。これに並行して、2月7日には、第2回の「ワークショップ文字:文字の規範」(国立国語研究所)を開催する。
http://www2.kokken.go.jp/egov/ws_moji090207.html

昨年の第1回のワークショップも近いうちに刊行の予定。また、第2回も、本にするつもりでいる。

當山日出夫(とうやまひでお)

追記
2009/01/09

白石明彦さん、「記者」と書いたのを「編集委員」に訂正。