『豊臣兄弟!』「桶狭間!」2026-01-26

2026年1月26日 當山日出夫

豊臣兄弟 桶狭間!

戦国時代ドラマとしては、一つの見せ場である、桶狭間の合戦である。

歴史学、軍事史としては、現在ではいろんな説があるらしいのだが、大きな流れとしては、一般的な桶狭間の合戦ということだったかと思う。

この『豊臣兄弟!』の桶狭間の新機軸(?)としては、この合戦の勝利は、偶然的なものではなく、織田信長の作戦のうまさ、ということになっていた。たまたま雨が降ってきたのではなく、それを予見していた。今川義元の軍勢が二分することも、予定のことであった。そして、今川義元だけを標的として攻撃をしかけた。インテリジェンスをふくめて、作戦の妙、として作ってあった。

桶狭間の合戦というと、定番の「人間五十年~~」である。幸若舞である。

そして、戦場での合戦シーンが、迫力のあるものであった。『光る君へ』『べらぼう』と、合戦や戦争などとは、ほとんど関係のない時代のことをやってきたので、久々の戦闘シーンである。

ただ、気になることがないではない。

織田信長の家臣団、軍勢が、いくら小所帯とはいえ、主君の信長が、足軽になったかならないかというぐらいの、秀吉、秀長に、長々と声をかけて会話する、というようなことがあったのだろうか。しかも、秀吉、秀長という名前は、桶狭間の勲功として、信長から賜ったということになっていた。このあたりは、ドラマだから、こう作ってあるということで見ている。

雨が降れば鉄砲は使えなくなる。火縄銃は、そういうものなのだが、それを、むしろでくるんだぐらいで、防水ということはないだろうと思う。銃身の内部がぬれてしまえば、使えないはずである。どうなのだろうか。(どんな悪条件であっても使えるということで、旧ソ連で、カラシニコフが作られたということになるのだが、これは、ずっと後のことである。)

秀吉と秀長は、父親の敵討ちをたくらんでいた。秀吉が、かたきを狙って弓で射ようとしたところを、秀長がとめる。かたきはにくいが、しかし、戦闘において、あいつは役に立つ。自軍(信長軍)の戦闘能力の維持のためには、殺すべきではない(今風の言い方ではこうなるだろう)ということで、止める。戦争にあっては、軍人兵士は、生きのびることが至上命題であるが、同時に、自軍の戦闘能力を継続して維持することが、最も重要なことになる。(だからこそ、現代では、対人地雷という悪魔の兵器を生み出すことになる。これは、殺すことはあまりない。重症を与えることを目的としている。殺してしまえば、戦闘能力は一人分減るだけだが、重症をおわせれば、その救援のために、少なくとも他の二名ぐらいの戦闘能力をそぐことができる。より効果的なのである。)

これからも戦国時代とはいえ、いろんな戦闘シーンが出てくることになるかと思うが、戦場における軍人兵士の心理ということを、どう描くことになるだろうかと、ここはちょっと期待して見ているところである。

ささいなことかとも思うが、桶狭間の合戦で、信長軍が、火縄銃の斉射をおこなっていたが、この時代の火縄銃は、射程が100メートルほどだったと思うが、はたして、戦術としてはどうなのだろうか。

秀長に対して、信長が、功績ほめて母衣衆にすると言ったが、正体の知れない足軽をいきなり、こういう役職をあたえるのは、どうなのだろうかとも思う。

秀長は、褒美として銭が欲しいという。このドラマは、とにかく、銭でかたをつける、ということのようである。経済史的にいえば、銭高制ということなのだが、これが、後に検地があって、石高制に変わっていくとすれば、そこには、どういう合理的な説明がなされることになるだろうか。これまでのところ、秀長は、経済的には、きわめて近代的経済観念に通じる合理性の持ち主として描かれている。

博打の歴史は、いかさまの歴史でもあっただろう。

これまで見て、なんだかもの足りないと感じるのは、濃姫が出てきていないことかもしれない。そのかわりに、お市が、信長のそばにいる。

2026年1月25日記

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