映像の世紀バタフラエフェクト「レンズの向こうの戦争 ジャーナリスト 沈黙との闘い」2026-01-27

2026年1月27日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト レンズの向こうの戦争 ジャーナリスト 沈黙との闘い

この番組とはまったく関係のないことだが、印象に残ったこととしては、石川達三がNHKの番組に出ていた過去の映像があった。その番組の名前が「婦人の時間」であった。もう、こんな名前のテレビ番組は、今ではとても作れないだろう。テレビを、どんな人が見ていたのか、どういう人を視聴者として想定して番組を作っていたのか、これはこれで、面白いテレビの歴史である。

最初の方で、キャパのことばが出てきていた。

「写真というものは、撮影された瞬間はどれも代わり映えしないものです。しかし編集者とそれを見る大衆の想像力で報道写真に生まれ変わるのです。」

このキャパのことばは、終わりの方で出てきた、オダネルの「焼き場に立つ少年」の写真へとつながる。ただ、弟(と思われる)子どもの死体(と思われる)を背負って立っている少年の姿を写した写真が、ローマ教皇の目にとまり、核兵器批判のメッセージとなる。こうなるためには、原爆投下から今日までの、歴史のみちのりがあってのことである。この間に、大衆の想像力、がどう変わってきたのか、メディアのあり方、戦争報道のあり方、そして、国際情勢の変化ということをふまえて、考えることになる。

日中戦争のときの南京攻略において、多大の民間人、非戦闘員の犠牲者が出たということは、大多数の人は、否定することではないだろう。(一部には、否定する人もいるのだが。)ただ、問題は、そのことがあったか/なかったか、という議論ではなく、中国がいうとおり、30万人という数字が妥当なものかどうか、であるはずである。それを少しでも少なく見積もろうとするならば(その時代に南京にいた人間の数から推測して)、それだけで、反動主義、軍国主義と烙印をおされることになってしまう、今の風潮のことが問題であると、私は思っている。30万という数字は、とってもたくさん、というぐらいのことかとも思うし、また、史料にもとづいて実際に何があったかということを検証することは、その結果がきにくわないかもしれないが、尊重されるべきだと思う。(どのような立場からであっても。)

南京でのことを日本の人びとが知ったのは、東京裁判においてであった、というのが、これまでの通説であったのだが、はたして、昭和13年ごろの日本では実際にどうだったのだろうか。

毎日新聞の残した不許可写真のことは、去年、TBSで番組であつかっている。(ちなみに、この関係で、貴志俊彦さんとか、毎日放送の取材とか、私のところに来たということもある。ただ、思うところあって、対応は、長男に一任することにしたのだが。)

戦争と美術の関係については、東京国立近代美術館が意欲的な展覧会を開催したことは知っているが、特に、見に行こうとは思わなかった。もう、東京まで出かけていくのが、億劫になっている。

戦争とメディア、ジャーナリズム、文学や美術などとの関係で思うことは……とにかく、戦争ということには、人びとの心をかきたてる何かがある、それを、強いていえば、戦争の魅力、と言っていいかもしれない。

ベトナム戦争における、澤田教一のことなど思うことにもなる。また、本多勝一のことや、開高健のことなども、思うことになる。

戦争と報道ということでは、湾岸戦争のときの、CNNのピーター・アーネットのことを憶えているが、このことは、現在では、ジャーナリズムの歴史としては、どう考えられているのだろうか。今は、スマホ一つあれば、ウクライナでも、ガザでも、戦場のリアルタイム中継が可能になっている。

スペインの内戦のことについては、フランコ将軍について、ファシストとして悪く描かなければならない、ファシスト=悪、という図式があってのことになるが、これもどうかと思うところがある。単純に善悪を決めつけない、ということも、ジャーナリズムに求められることの、重要なことの一つであるはずである。

2026年1月21日記

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