『罪と罰』ソーニャの「黄の鑑札」2008-11-01

2008/11/01 當山日出夫

本を読んでいて、何が書いてあるかは重要。一方で、何が書いていないか、も 重要だと思う。

『罪と罰』(光文社)を読み始めて、おどろいたのは、居酒屋での、ラスコー リニコフとマルメラードフとの会話。この会話のなかで、はじめて、ソーニャ のことに言及される(登場するのは、もうすこし先)。

「黄(き)の鑑札」とだけあって、説明がない。p.36

ねんのためと思って、新潮文庫版の『罪と罰』が手元にあったので、同じ箇所 をみると、「黄色い鑑札」とあって、割り注で説明がある。p.24

光文社版(亀山訳)が、本文には注記をしない、という方針であるのは分かる。

さて、どっちがいいのか。読者の多数派、再読だろうと思う。以前、他の本で 読んでいて、もう一回、新しい訳で読んでみようというタイプ(私が、ちょう ど、それに該当する。)

「黄の鑑札」の意味するところは、読み進めれば、すぐに分かる。その他、注 をつけ始めるときりがない。あえて、何もつけないでおく、というのも、ある 種の方針ではある、と感じた次第。

しかしながら、このように「本」について書いてきて、思うこと。紙ではない 本は、いったいどうなるか(すでに、ケータイ小説もあるが)。情報処理学会 が、本格的に、論文誌などを、ペーパーレス化(つまり、オンラインの電子版 のみ)になる。この件については、追って考えてみたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

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