グーグルブックス:書籍への平等なアクセス2009-09-07

2009-09-07 當山日出夫

最近、(気のせいかもしれないが)グーグルブックスをめぐる動きが活発化している。そのなかの一つ、

CNET Japan
書籍への平等なアクセスを求める団体が「Google Books」に支持を表明
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20399434,00.htm

この件、渋沢財団の「情報の扉の、そのまた向こう」で知った。
http://d.hatena.ne.jp/tobira/20090907

これ以外にも、グーグルブックスに関連するニュースが掲載してある。賛否、いずれの立場にせよ、この問題に関心のあるむきには、必読のブログである。

著作権という利権(カネ)の話しが大事であることを認めるにやぶさかではない。しかし、「書籍への平等なアクセス」という視点も重要であると思う。

當山日出夫(とうやまひでお)

つぶやくことにした2009-09-07

2009-09-07 當山日出夫

急に、時代の流れが変わった。Googleで検索して、Twitterがかなり上位にヒットする。やむをえん、使うことにするか。

しかし、こまった。ふだん使っている、

YAMAMOMO

は、すでに使われてしまっている。そこで、

ユーザ名

yamamomo_htoym

とした。そして、署名は、

當山日出夫/YAMAMOMO

をつける。しばらく、この方針でいく。

當山日出夫(とうやまひでお)

追記 2009-11-04
Twitterのユーザ名は、現在は、hotym にしてある。140字は貴重。短い方がいいので。

科学における情報の上手な権利化と共有化2009-09-08

2009-09-08 當山日出夫

現時点では、ARGのイベントカレンダーには未掲載。国会図書館の、カレントアウェアネスによる。

科学における情報の上手な権利化と共有化
http://symposium.lifesciencedb.jp/IPDS/

要旨の箇所を引用すると、

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デジタル時代の利点を活かした発見や創作を促進するには、知的財産やプライバシーの保護を前提にしつつも、既存のマインドや制度を時代とともに変えていく必要があります。これは、科学における情報の流通・共有についても同じです。
本シンポジウムでは、デジタル化が進むわが国の生命科学を例として、情報流通・共有に関する望ましい規範や制度について考察します。
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平成21(2009)年10月5(月)
東京大学農学部構内 弥生講堂

くわしいプログラムは、上記のURLを見てください。
なお、プログラムには、次の講演がある(同時通訳付き)

“Copyright in the Digital Age and Its Impact on Scientific Data Sharing”
Lawrence Lessig (Harvard Law School, Professor)

デジタル時代における情報流通や著作権の問題、人文学と生命科学とでは異なる面もあるだろうが、決して無縁ではないであろう。

この点、STSNJ 夏の学校2009、も参考になる。
http://blog.stsnj.org/2009/07/stsnj-2009.html

上記のSTSNJは、ARG
http://d.hatena.ne.jp/arg/20090906/1252247025
による。

さて、グーグルブックスは、上記の研究会の要旨にあるように、「既存のマインドや制度を時代とともに変えていく必要があります」、とどうかかわることになるだろうか。

當山日出夫(とうやまひでお)

地図が無いとこまるのである2009-09-08

2009-09-08 當山日出夫

ようやく、『白夜に惑う夏』(アン・クリーヴス、創元推理文庫)を読み始める。この本の前作は、『大鴉の啼く冬』。どちらも、舞台が、イギリスのシェトランド。英国の本土の北の方の島々なのである。読んでみると、実際に白夜があるらしい。かなり緯度が高いことはわかる。(前作『大鴉の啼く冬』には、英国本土の北部をふくむ地図が掲載になっていたが、こんどの『白夜に惑う夏』には、なんにも地図がない。)

それにしても、いったい地球のどこにあるのか、イメージがわかない。となれば、地図を見る。ところが、もはや、私の書斎から、地図というものが姿を消してしまった。書物の地図である。

数年前までは、少なくとも、住まいの近辺、近畿圏の、道路地図は毎年あたらしいのを買っていたが、ナビをつけたせいで、これも買わなくなってしまった。

もはや、地図・・・となると、パソコンを起動する。今のパソコンには、スーパーマップル(昭文社)が入れてある。これは、デジタル写真のGPS情報に対応している。ただし、これは、日本国内。

世界地図になると、グーグルか、ウィキペディアを見てしまう。

まあ、辞書の類は、商売道具であるから紙の本を手元においてある。しかし、紙の地図がいらなくなった、ということは確か。出かけるときは、必要に応じて、行き先近辺の地図をプリントアウトする。

やっと『軍艦武蔵』(新潮文庫版)を読み終わった。困ったことに、この文庫版には、地図が掲載になっていない。いったい今、武蔵はどこにいるんだ、という気になる。栗田艦隊の転進、さて、レイテ湾はいったいどこだったか、やっぱり地図がないとこまるのである。

紙・書籍としての地図を読む、これも、また、我々がデジタルで失ってしまったものの一つかもしれない。私だけかもしれないが。

當山日出夫(とうやまひでお)

電子図書館とグーグルブックス:ヨーロッパは複雑怪奇2009-09-09

2009-09-09 當山日出夫

そういえば、むかし、欧州の情勢について複雑怪奇と言った政治家がおりましたが、さて、今のヨーロッパにおける電子図書館をめぐる動きは・・・

Twitterでtsysobaさんが、書いておいでのことを、説明文を引用してならべますと、(以下、すべて、国会図書館カレントアゥエアネスによります)。

(1)
EU、欧州デジタル図書館“Europeana”の収録点数を1000万点へ倍増させると発表(8月31日)
http://current.ndl.go.jp/node/14238

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欧州連合(EU)はプレスリリースで、欧州各国によるデジタル図書館“Europeana”の収録点数を現在の約460万点から、2010年までに 1000万点に増加させると発表しています。それに伴う著作権問題等についての協議を2009年11月15日までの期間で行うとのことです。プレスリリースの中で、欧州委員会の情報社会・メディア担当のViviane Reding氏は、EU加盟国でデジタル化された資料の5%しかEuropeanaで見られないこと、資料の約半数は一つの国(フランス)が提供していることなどを指摘し、他の国の協力を呼びかけています。
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(2)
フランス国立図書館とGoogleの連携をめぐる動向(9月2日)
http://current.ndl.go.jp/e969

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フランス国立図書館(BNF)は,Googleブック検索プロジェクト(現在は「Goolgeブックス」としてサービスを提供)に以前は懐疑的であった。ジャンヌネー(Jean-Noel Jeanneney)BNF前館長は,『Googleとの闘い』という書籍を著し,Googleという米国の一企業による書籍文化の独占に対し異議を申し立てていた。しかし,2009年8月,BNFが,Googleと書籍のデジタル化の領域での提携交渉を進めていることが明らかとなった。
(以下、中略)
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(3)
欧州委員会、本のデジタル化についての会議を開催(9月8日)
http://current.ndl.go.jp/node/14385

>>>>>
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(European Commission)は、2009年9月7日・8日の日程で、本のデジタル化に関する会議を開催しています。7日には、Googleブックスの和解案等についてもヒアリングが行われたとのことです。会議に先立って公表されたプレスリリースでは、著作権に留意することが必要であるとしながらも、デジタル化をすすめる手段として、公共部門と民間部門の協同について言及しています。また、デジタル時代に応じた著作権制度の整備の必要性も主張しています。
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おおよそのところは、グーグルに全部の利権をコントロールされてしまうのは、いやだ。かといって、それぞれの国で独自にでは、らちがあきそうにない。ここは、

1.グーグルと組んでできるとこ、グーグルにまかせること
2.EUとしてどう対応するか
3.個別の国(ここであがっているのはフランスですが)としてどう判断するか

このあたりが、微妙に錯綜しているように思えます。また、最後に残る問題としては、やはり個々の著作権者の立場、ということになるのでしょうか。

これに、日本の状況、グーグル、国会図書館(デジタル化)、日本文藝家協会などをならべてみますと、まさに、複雑怪奇。

當山日出夫(とうやまひでお)


『軍艦武藏』2009-09-10

2009-09-10 當山日出夫

この本、ななめにざっと読む、ということができない。生き残ったひとの証言を、淡々と(まさに、淡々としか言いようがない)記述してある。それが、この本の真骨頂だろう。

手塚正己.『軍艦武藏』(新潮文庫)上・下.新潮社.2009
http://www.shinchosha.co.jp/book/127771/

私ぐらいの世代であれば、大和・武蔵、それに、信濃(三号艦、途中から空母に変更)のことは、知っている。子供のころのこと。また、『戦艦大和ノ最期』(吉田満)も、読んでいる。角川文庫版しかなかったところに、(今はなくなった)北洋社の、著者自身による再校訂版が出たのを持っている。

武蔵については、吉村昭の『戦艦武蔵』ぐらいしか読んでいない。ただ、この本は、その軍艦としての建造と戦闘・沈没が中心。

言いたいことは多くあるが、二つだけ。

第一は、『野火』(大岡昇平)に描かれていることが、実際のこと、体験談として、描かれていること。これは、武蔵が沈没してからの、乗組員のその後を描いた箇所で。これまでの、壮絶としか言いようのない、戦闘の記述を経たあとでは、ごく自然に読めてしまう。極限状態におかれた人間とは、このようなものか、という印象をもつ。

第二は、戦後になって、武蔵の乗員であったひとたちが武蔵会をつくって、慰霊祭を、靖国神社でおこなっている。靖国神社については、いろいろ意見がある。しかし、この本を読んで、生き残ったひとたちが、靖国神社であつまることに、私としては、違和感を感じない。ごく自然なこととして読める。(しかし、この本の意図としては、靖国神社を肯定する方向性はない。)

當山日出夫(とうやまひでお)

おまけ
『軍艦武蔵』(手塚正己)は「藏」、『戦艦武蔵』(吉村昭)は「蔵」、字が違うので、検索にこまった。

『自殺で家族を亡くして』2009-09-10

2009-09-10 當山日出夫

図書館には、それぞれに分類の規準・ルールがある。これは、尊重しなければならない。だが、状況に応じて、既存の分類の枠を越えて、「知る」ことがもとめられる場合もある。

こころのカフェきょうと、については、すでに紹介した。この組織は、主な活動を自死遺族のメンタルサポートにおいている。
http://www.geocities.jp/kokorono_cafe/top.html

たとえば、次の本。
全国自死遺族総合支援センター(編著).『自殺で家族を亡くして-私たち遺族の物語-』.三省堂.2008
http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/jisatusde_nakusite.html

この本が、図書館にはいったとき、どこに置かれるだろうか。そして、そのとなりには、どんな本があるだろうか。

今の日本の自殺者について書いた本があるだろうか(ちなみに、3万人というのは、かなり虚偽をまじえた数字。実際は、もっと多い。このことはまた別に)。アルコール依存症、精神的な病気(鬱病など)、その背後にある現在の日本の諸問題(失業、過重労働、多重債務、など)。さらには、精神的な病気をもったひとへの社会的な支援の問題。社会福祉全般の問題。障碍者権利条約(日本はまだ批准していない)のこと。過重な介護から殺人にいたるケース(これは、最近、裁判員制度のことで話題になった)。医学、法律、社会福祉、教育、様々な分野にわたるに違いない。

これらのことがらは、みんなどこかでつながっている。そして、そのつながり全体のなかでしか、問題解決の道は見いだせない。

では、そのことを知ろうとしたとき、既存の図書館の分類は、「知る」ことを分断してはいないだろうか。図書館が、現代社会の諸問題について、まず「知る」ことから、また、ひとはそれらのことを「知る」権利がある、と考えるならば、状況に応じて柔軟な対応があっていいだろう。

関連する本をあつめたコーナーをつくる。そなえつけのコンピュータで検索すれば、関連する本が同時に出てくる(Amazonのように)。この意味では、図書館の貸し出し履歴というのは、貴重な「社会の資源」だと思う。同じような悩みをかかえている人は大勢いるにちがいない。そのようなひとに対して、「知る」ことをサポートする、これは図書館の仕事であると、私は思う。

おまけ
自殺者の遺族は、自殺という表現を忌避します。自死、という用語をつかいます。たとえば、このようなことでも、まず知らなければ、さきにすすみません。図書館にも、このような用語の配慮をお願いしたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

全部見てしまった図書館キャラクター2009-09-11

2009-09-11 當山日出夫

国会図書館カレントアゥエアネスによる。

ゆるいのからゆるくないのまで、図書館キャラクターいろいろ
http://current.ndl.go.jp/node/14442

Lifo
図書館キャラクター
http://www.lifo-club.org/index.php?%BF%DE%BD%F1%B4%DB%A5%AD%A5%E3%A5%E9%A5%AF%A5%BF%A1%BC

全部、クリックしてしまった(^^;)

さて、どれがお気に入りかと問われると、宜野湾市の市民図書館
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2562/2563/2567/1219.html

名前が未詳であるが、なかなかやるな(と、私は感じる)。おおむね、他のキャラクタのデザインが、かわいらしさ、を印象づけようとしているなかで、異色。

全部クリックして見てしまった人、かなりいるに違いない。

それにしても、よく集めたものである。だが、図書館の他にも、博物館・美術館・文書館などでもキャラクタがあるにちがいない。期待したい。

當山日出夫(とうやまひでお)