『おんな城主直虎』あれこれ「城主はつらいよ」2017-04-04

2017-04-04 當山日出夫

『おんな城主直虎』2017年4月2日、第13回「城主はつらいよ」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story13/

この前の回は、
やまもも書斎記 2017年3月28日
『おんな城主直虎』あれこれ「おんな城主直虎」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/03/28/8423978

もうネコがでなくなってしまった。

その代わりに登場してきたのが、方久。たぶん、これは、架空の存在なのだろうと思って見ていたのだが……このような人物を登場させるあたりが、今回のこのドラマの新機軸といっていいのかもしれない。

戦国の世で井伊は生きていくことになる。そこでは、今川、徳川、織田といった戦国の大名にかこまれるなかで、井伊谷の領地を守る国衆としてのエトスを、どう描くかが問題になる。このとき、前作、『真田丸』のような武力と知謀、姦計で生き抜くということではなさそうである。

戦国の時代なれば、商品経済、貨幣経済の時代になっているはず。ただ、「百姓」が年貢(米)を納めていればいいというものではない。

ところで、最近の歴史学の分野での網野善彦の評価がどうなっているのか、門外漢なのでよく知らないのだが、すくなくとも、「百姓=農民」という図式への疑問、また、「年貢=米」とは限らないということ、このあたりのことは、一般常識となっていると考えていいだろう。

この意味で、今回登場してきた、方久という人物の存在は、きわめて興味深い。

そういえば、司馬遼太郎の『国盗り物語』の斎藤道三は、油売りの商人から、大名になったのであった……このようなことを思い出してみる。

ともあれ、武断と知略で生き抜く戦国武将というのではない、「銭」でその経済的基盤をささえていかなければならない生活の有様、このような視点から戦国時代を描いたドラマとして、この作品は面白いものになっていると思う。

しかし、本当にもうネコは出てこないのだろうか。

追記 2017-04-11
このつづきは、
やまもも書斎記 2017年4月11日
『おんな城主直虎』あれこれ「徳政令の行方」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/04/11/8457643