『刺繍する少女』小川洋子2021-09-13

2021-09-13 當山日出夫(とうやまひでお)

刺繍する少女

小川洋子.『刺繍する少女』(角川文庫).KADOKAWA.1999(KADOKAWA.1996)
https://www.kadokawa.co.jp/product/199999341004/

続きである。
やまもも書斎記 2021年9月4日
『人質の朗読会』小川洋子
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/09/04/9419295

短篇集である。これを読むと、小川洋子という作家は、怖い話し、ユーモアのある話し、奇妙な話し……そして、これらがいりまじったような作品世界を構築していることがわかる。

収録するのは、次の作品。

刺繍する少女
森の奥で燃えるもの
美少女コンテスト
ケーキのかけら
図鑑
アリア
麒麟の解剖
ハウス・クリーニングの世界
トランジット
第三火曜日の発作

どれも短い作品ばかりである。が、短い作品がどれも印象深い。小説を読むたのしさ、というものを、この短篇集から強く感じる。

これらの作品に共通してあるのは、日常的な風景のすぐとなりにある怖さとでもいうべきだろうか。といって、村上春樹の作品のように、異世界がそこにあるという感じではない。日常的な感覚のなかに、いつの間にかとけこんでくるような怖さである。

2021年5月31日記

追記 2021年9月18日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年9月18日
『ホテル・アイリス』小川洋子
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/09/18/9424603

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