ダークサイドミステリー「黄金時代の怪奇文学!名作の秘密に迫る ドラキュラ!タイム・マシン!ジキルとハイド!」2025-05-17

2025年5月17日 當山日出夫

ダークサイドミステリー 黄金時代の怪奇文学!名作の秘密に迫る ドラキュラ!タイム・マシン!ジキルとハイド!

『ドラキュラ』『タイム・マシン』『ジキルとハイド』であるが、このうち『ジキルとハイド』は、たしか読んだことがある。たしか新潮文庫版だったと憶えている。見てみると、他に日本語訳としては、岩波文庫版、光文社古典新訳文庫版、などがある。『タイム・マシン』も『ドラキュラ』も、新しい翻訳がある。

イギリスのビクトリア女王時代というと、私などは、シャーロック・ホームズを思い出すし、夏目漱石のロンドン留学を思うことになる。この時代に、人間の闇の部分というべきところを描いた作品が書かれ、それが現代まで読み継がれていることは、興味深い。また、切り裂きジャックの時代でもあった。

この時代、出版文化史的には、新しい都市部における読者層が広がりつつあった時代ということになるかと思っている。「シャーロック・ホームズ」などは、まさにこの時代の新しい読者層に受け入れられた作品である。この番組であつかっていた『ドラキュラ』『タイム・マシン』『ジキルとハイド』は、どういう読者層に読まれたものだったのだろうか、この時代の英国の社会の構造……階級のあり方といってもいいだろうが……と、出版史、読書史、という観点から、説明があるとよかったと思う。

『ドラキュラ』というと、ルーマニアぐらいしか思いうかばない。それほど予備知識がない。おそらく、この小説が書かれる以前に、「吸血鬼」をめぐる物語のいいつたえはあったのだろうが、どうだったのだろうか。そして、「ドラキュラ」の物語は、現代のいろんなところに影響が及んでいる。「吸血鬼」をモチーフにした、現代の小説やドラマなど、たくさんある。

『タイム・マシン』は、いまでこそ当たり前のように考えることであるが……番組のなかで言及していた『ドラえもん』もうそうだし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もそうだし、他にもたくさんある……はじめてこれを考えついたウェルズは、すごいというべきだろう。そして、その描き出した未来の人間の姿は、こういうことをその当時に考えていたかと思うと、これもすごいことだと思う。

『ジキルとハイド』は、善と悪という対立ではなく、普通の人間のなかに存在している悪の部分、これが顕在化したときどうなるか、ということになる。

ダーウィンの『種の起源』について出てきたが、この本の影響は、生物学だけではなく、むしろ、文化史的、社会思想史的に、非常に大きなものがある。狭い範囲で、生物学の理論として見るだけではなく、その広範囲な影響を考えるべきだろう。日本では、この『進化論』の受容はどうだったのだろうか。私の知っている範囲だと、たしか内村鑑三は、この本のことをとても高く評価していたはずである。一方、今でも、アメリカの一部では、進化論を学校で教えてはいけない、という声が残っている。

ビクトリア女王の時代がどんな時代で、その時代だったからこそ生まれた文学作品ということになるのかとも思う。このことについては、さらに深く考える番組があっていいと思う。

ここで出てきた作品は、今では、新しい翻訳で読むことができる。Kindle版もあるので、読んでおきたいと思う。

2025年5月15日記

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