文字研究会2009-08-05

2009-08-05 當山日出夫

本日(2009-08-05)文字研究会のホームページがオープン。
作ってくれたのは、師(もろ)さん。師さん、どうもありがとうございました。

文字研究会ホームページ
https://sites.google.com/site/mojiken/

まだ、できたばかりで、実は、あまり中身がない。カラッポに近い。今後、どのような方向で充実させていくか。

すでに文字についての研究会などは、ある。

漢字文献情報処理研究会
http://www.jaet.gr.jp/

『国語文字史の研究』(和泉書院)、これは、研究会というわけではないが、毎年、1冊、刊行。最新刊が、十一号になる。

もちろん、日本語学においても文字研究の分野はある。また、日本語以外の言語についても。たとえば、東京外国語大学のアジア書字コーパス。
http://www.gicas.jp/

ここには次のようにある。

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文字は、人類最大の文化遺産である。しかし、驚くべきことに、これに焦点をあてた学問領域はいまだに未開拓なまま取り残されている。
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たしかにこのとおり。だからといって、これに対抗するつもりもない。いや、さらにもっと視野を広げて考えてみたい。文字のことを考えるのに、もはや、文字のことだけでは考えられない状況に今はある。

以前にも書いたことかとも思うが、厳密でアカデミックな方向をめざすよりも、さしあたっては、気楽な「文字のコーヒーハウス」をめざしたい。そこから、いろんな「文字」の研究が生まれてくればいいと思っている。また、「文字」を考えることから、既存の学問体系の枠組みを問い直すことができるかもしれない。かすかながらも、そんな野望を抱いての出発である。

當山日出夫(とうやまひでお)

電子翻刻と人文情報学2009-06-22

2009/06/22 當山日出夫

人文情報学、デジタル・ヒューマニティーズ、においいて、(少なくとも日本においては)もっとも重要な問題が、「文字」である。私の知見の範囲では、まず、日本で人文学研究にコンピュータを利用しようとしたとき、直面した問題は文字であるし、また、いまでも、重要な課題のひとつでありつづけている。

青空文庫で次の会が開催

芝野耕司先生講演会「電子翻刻における「読み」と「見たまま」」

http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000297

この件、「明窓浄机」の方にも掲載。

明窓浄机
http://d.hatena.ne.jp/YAMAMOMO/20090622/1245626425

當山日出夫(とうやまひでお)

文字のコーヒーハウス2009-06-18

2009/06/18 當山日出夫

実を言えば「文字研究会」の方は、ほとんど何も考えていない状態である(^^;)

雑感を述べれば、「文字」を研究する、研究会というものが、(私の知る限り)無かったということがある。文字研究は、これまでは、基本的に言語研究の一部であった。であるならば、まあ、やってみよう、というのが正直なところである。

さしあたっては、可能な限り融通無碍な会にしたい(←ここで「碍」の用例があります。)

きっちり「会則」で決めた研究会や学会にはしたくない。私には無理であるし、また、何よりも、自由を尊重したい。文字についてのことなら、何でもあり。何でもいいから集まって話しをしようではないか、文字についての多事争論、あるいは、文字のコーヒーハウス、このようなイメージ。

インターネット上のいろんなツール、ホームページに限らず、ブログ、グループウエア、SNS、メーリングリスト、メールマガジン、これらを適宜くみあわせながら、お互いのコミュニケーションをはかっていきたい。

そうはいっても、来月の第3回の「WS:文字」は、「研究会」について何か話さないといけない。そろそろ考えるとしようか。

しかしながら、もし「文字のコーヒーハウス」をささえる「アーキテクチャ」があるとすれば、それは、どんなものだろうか、この点については自覚的でありたいと思っている。

當山日出夫(とうやまひでお)

第3回WS:文字-新常用漢字表を問う Part2-2009-06-18

2009/06/18 當山日出夫

以下のごとく、第3回の「ワークショップ:文字」を開催します。みなさん、ふるってご参加ください。なお、案内にもありますように、あらたに「文字研究会」を考えています。

http://kura.hanazono.ac.jp/kanji/20090718.html

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「第3回ワークショップ: 文字 ―新常用漢字表を問う Part 2― 兼「文字研究会」(仮称)設立準備会」のご案内

開催趣旨

みなさま、すでに御存知のように『「新常用漢字表(仮称)」試案』が発表されました。また、すでに第1回のパブリックコメントの募集もありました。

今回の「新常用漢字表(仮称)」は、我が国における国語施策の重要な問題です。字種の増減にとどまらず、字体のことも大きな焦点になっております。また、これは単に国内の言語政策のみならず、世界全体での文字コードにもかかわる重要な課題でもあります。と同時に、日本語における言語生活にとって、文字・漢字・表記とは、どのような意味を持っているのかについての根源的な問いかけにつながるものでもあります。

日常的な日本語の文字使用、実際の印刷の現場、世界のなかでの日本の文字コード、様々な視点から、「文字」というものについて、みなさんと一緒に考える機会をつくりたいと思う次第です。

なお、今回の「第3回ワークショップ: 文字」を契機として、「文字研究会」(仮称)の設立を考えております。

日時
2009年7月18日(土)13:00より

場所
花園大学(京都市中京区)・拈花館202教室

プログラム(予定)

* 12:30 受付
* 13:00 開始
* 13:00-13:15 當山日出夫 開会挨拶 WS文字から文字研究会へ
* 13:15-13:45 安岡孝一 姿と恣と盗 —新常用漢字表字体の源流—
* 13:45-14:15 小形克宏 漢字小委員会における審議の実際 —字体をめぐる対立を題材として—
* 14:15-14:45 高田智和 白書コーパスの字種・字体
* 休憩 14:45-15:15
* 15:15-15:45 川幡太一 漢字とオープンソース辞書・ソフトウェア
* 15:45-16:15 的場仁利 文字の現場の目
* 16:15-16:45 師茂樹 文字を“わたる”ことについての予備的考察
* 休憩 16:45-17:00
* 17:00-17:30 全体討論
* 18:00- 懇親会

発表者紹介

當山日出夫(とうやまひでお)
日本語学・訓点語学。文字研究。 第1・2回の、 「ワークショップ:文字」の開催にかかわる。 立命館大学グローバルCOE (DH-JAC) 客員研究員。

安岡孝一(やすおかこういち)
人文情報学。文字コード論。 著書『文字符号の歴史』 『キーボードの配列QWERTYの謎』など。 京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター。

小形克宏(おがたかつひろ)
フリーライター。文字の研究家。 ブログ「もじのなまえ」は文字コードをめぐる論議のハブ的な存在。 新常用漢字の制定プロセスを取材し続けている。

高田智和(たかだともかず)
日本語学。文字研究。電子政府文字にかかわる。 国立国語研究所。

川幡太一(かわばたたいち)
デジタル文字の研究。

的場仁利(まとばのりよし)
印刷会社勤務。DTP関連の研究会にかかわる。 ブログ「文字の旅人」で文字について、貴重な提言をしている。

師茂樹(もろしげき)
文字だけでなくマンガなどのキャラクターを含む広い意味でのcharacterに関心がある。 花園大学。

参加方法

* 入場無料。
* 資料や懇親会の準備の都合がありますので、なるべく前日までに下の申込書にご記入の上、 ■■■@■■■■■■までメールでお申込み下さい (事前申し込みなしでも入場はできますが、資料等が間に合わないかもしれません)。

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メールアドレスの部分は、■■にしてあります。WSのホームページで御確認ください。

當山日出夫(とうやまひでお)

国旗と国家と言語と絵文字2009-06-07

2009/06/07 當山日出夫

ARGで、これまで、何度か指摘されている問題。HPの作成において、「言語」を「国旗」であらわすことの是非。

この問題については、「絵文字」をめぐる論議でも展開されている。

小形克宏さん
絵文字が開いてしまった「パンドラの箱」第4回--絵文字が引き起こしたUnicode-MLの“祭り”
http://japan.cnet.com/column/pers/media/story/0,2000058034,20394318-4,00.htm

もじのなまえ
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090604/p1

當山日出夫(とうやまひでお)

東京書籍の教科書2009-05-12

2009/05/12當山日出夫

狩野さんのコメントで知りました。(狩野さん、どうありがとうございます。)
2009年4月22日へのコメント
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2009/04/22/4259713

東京書籍の明治期からの教科書資料群が、重文指定になったよし。さっそく、

東京書籍
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/

で確認しました。

たしかこのとき、新しく文化財指定になったことで、新聞で大きく報じられたのは、映画「紅葉狩」。教科書の件は、見落としたか、と思います。

ただ、このように古い教科書資料が、研究資料につかえるようになると、近代における文字の研究に、新しい方向が見えてくるように思えます。

當山日出夫(とうやまひでお)

記録を残せ:新常用漢字とアーカイブズ2009-04-17

2009/04/17 當山日出夫

新常用漢字のパブリックコメントで、私は、情報の開示をもとめた。それは、いいかえれば、調査データと、審議の議事録を残すことである。

その理由は、「新常用漢字表(仮称)」という公的な漢字集合を決めるにあたって、どのような経緯があったか、残さなければならない、その義務が日本国政府には、また、それを要求する権利が、われわれ(国民)にはある、からである。

映像学部でのデジタルアーカイブ論で、『アーカイブ事典』からの、引用として、フランスのミッテラン大統領のことばを、学生に紹介している。1988年の国際文書館評議会世界大会。

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すべての国のアーカイブズは過去の行為の軌跡を保存するものであり、同時に現在の問題をも照らし出してくれるものである。過去はそのままにしておくと消え去ってしまうから、記録を残すよう努力をはらわなければならない。記録を処分するかどうか、つまり生きてきた存在証明を残すかどうかは私たちの判断にかかっている。この存在証明は積み重なって世の中のできごとがどのように組み立てられているかを知る手段となり、私たち世界のすべての人びとはそれを知る権利がある

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公文書は、アーカイブズとして残されなければならない。そして、その公文書を書くための「目安」である「新常用漢字表(仮称)」の制定のプロセスも、アーカイブズとして残す必要がある。日本国政府には、その義務がある。「新常用漢字表(仮称)」の制定が、我が国の「国語施策」として正しいものであったかどうか、その判断は、後世にゆだねられる。そのための資料(史料)を、残さなければならない。

これは、「新常用漢字表(仮称)」の是非をめぐる議論とは、また別のことである。だが、この発想を持たないで、「新常用漢字表(仮称)」を決めることは、現代の社会において、倫理的に反する行為である。

小川千代子・高橋実・大西愛(編著).『アーカイブ事典』.大阪大学出版会.2003

當山日出夫(とうやまひでお)

新常用漢字:パブリックコメント2009-04-17

2009/04/17 當山日出夫

私の送信したパブリックコメントの一部を、「明窓浄机」の方に書いておきました。

明窓浄机 私の送ったパブリックコメント
http://d.hatena.ne.jp/YAMAMOMO/20090417

まあ、要するに、基本となっている調査データからしてダメである、ということなのですが、それを、どう表現するといいかとなると、困る。

信用される漢字表のためには、信頼できるデータと、それに基づく信頼できる調査、なのだと思っています。

當山日出夫(とうやまひでお)

漢字検定と新常用漢字2009-04-17

2009/04/17 當山日出夫

これを書いている時点での最新ニュースでは、今年度の漢字検定の試験は、中止の方向、かもしれない。

まあ、漢字検定のボロもうけ主義については、いろいろ、かねてよりウワサのあったことである。こうなる前に、自浄能力でどうにかならなかったものかと思う。現在のように規模が拡大し、なかば公的な存在になると、運営の倫理観がともなう。

現在、「新常用漢字表(仮称)」試案、のパブリックコメントの締め切りが済んだ段階。

新常用漢字、これについて、漢検は、何も言う気がなかったのか、言えなかったのか、あえて言わなかったのか、このあたりは、気になるところである。問題で、「謎」という字を書いて、「しんにゅう」の「てん」が一つでも二つでもどちらでもいいのか、どちらかが正解であるのか、明瞭な判断をしめさなければならない。また、当然ながら、出題範囲の文字も変わる。(採点もかなりいいかげんだったようなので、どうでもいいことか。)

個人的に思うこととしては、今回の新常用漢字について、漢検としても、意見を表明すべきであったと思う。表明したのだけれど、私が知らないだけか。

當山日出夫(とうやまひでお)

やはり気になる「楷」「於」2009-04-12

2009/04/12 當山日出夫

安岡さんのご指摘のように、日本国政府全体(?)として、あまり、常用漢字をまもろうとはしていないようです。

となりますと、最後には、文科省・文化庁、だけになって、孤塁をまもることなるのか。でも、文化庁でも、「楷書」の「楷」の字を、「新常用漢字表(仮称)」試案、のなかで、ルビつきとはいえ、つかっているし。

書体としての「楷書」の概念がきちんと確立していないと、手書き文字と、明朝体との関係が不明瞭になる。「ていねいなきちんとした字」では、ていねいに書いた「行書」もふくんでしまう。

「於」など、一般の文書用語として必要とおもう。調査対象には、普通の事務的文書など入っていなかった、ということか。あるいは、今は、@(アットマーク)で代用する……これ漢字じゃないから関係ない……

當山日出夫(とうやまひでお)