ETV特集「令和の“トキワ荘”〜熊本から世界をめざせ〜」2024-02-21

2024年2月21日 當山日出夫

ETV特集 令和の“トキワ荘”〜熊本から世界をめざせ〜

私は漫画は読まない。私ぐらいの世代からだろう、大人になってからも漫画を読む/読まない、という違いがあるのは。私の場合、読まないという道を選んだ。ただ、それだけのことである。

熊本に作った、現代版の漫画家の養成システム。令和のトキワ荘である。海外から若手の漫画家志望者をつのって、仕事(漫画の制作にかかわる)をしながら、自分の作品を作り、漫画家デビューを目指す。

また、この熊本の高森町の高校には、漫画の学科がを作った。いわば、漫画で町おこし(かなり古風な言い方になるが)である。

興味深かったことがいくつかある。

一つには、編集者のこと。漫画の分野では、編集者がその作品の成立に深くかかわる。ストーリーの展開は無論、キャラクターの設定、描画にいたるまで細かく指導する。ここまでくると、編集者というよりも共著者と言ってもよいほどである。これは、日本の漫画の独特の習慣らしい。

それから、漫画の制作過程が面白い。特に機材のことである。高校生は、紙に書いていた。しかし、プロを目指す外国からの漫画家たちは、デジタルで描いている。デジタルの画面に下書きをして、それをレイヤーとして、その上のレイヤーに清書を仕上げていくことになるのだろう。このプロセスは、かつての紙にペンとインクで描いていた時代とは大きくことなる。

使っているのは、Macが多いようだった。プロの映像、画像関係の仕事なら、そうなるのかなとは思う。ただ、色を付けるとなると、表現出来る色空間をどうコントロールするか、専門的な知識が必要になるはずである。

それから、国語学の視点から関心があったのは、漫画の台詞を、横書きで書くか、縦書きで書くか、ということがある。番組に登場していた作品では、横書きのものと縦書きのものがあった。また、台詞の部分に文字の入っていないものもあった。台詞のことばは、誰がどうやって最終決定するのだろうか。

この番組の場合、特に外国出身の漫画家志望者である。日本語教育ということでは、どうなのかという気もしている。まあ、別に、日本で漫画家修業をするからといって、日本語の漫画を描かなければならないということはない。外国語で漫画を描いてもいい。現に、日本の漫画の多くは、外国語に翻訳されて、世界に広まったということがある。

漫画は読まない生活をおくることにしているのだが、これからの漫画家たちがどのように成長していくことになるのか、このことには興味がある。

これからネットとデジタルの時代、紙の本の漫画、というものにどれだけの意味があるのかという気もする。たぶん、紙の本の出版は将来的な展望はないだろう。デジタル版の漫画が主流になるかと思う。漫画とメディアの関係も、これからどうなっていくことだろうか。

2024年2月19日記

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