『陸游詩選』2008-02-21

2008/02/21 當山日出夫

昨年の末に出た、岩波文庫。なんとなく買いそびれていたが、ようやく買った。おそらく、今の日本で、陸放翁が読まれるのは、河上肇とワンセットにして、であるかもしれない。岩波文庫の訳注は、一海知義さんである。

移花遇小雨喜甚為賦二十字

独坐閑無事

晩香賦小詩

可憐清夜雨

及此種花時

の五言絶句について、訳注をほどこしながらも、河上肇の、現代日本語訳が、おまけについている。(pp.146-147)

ひとりゐのしづけさにひたり

香をたきて詩を賦す

あはれこの清き夜を

音も無く雨のふるらし

けふ移したる花の寝床に

この訳は、河上肇『陸放翁鑑賞』にも収録。「放翁鑑賞 その六 -放翁絶句十三首和訳(つけたり、雑詩七首)-」

漢詩をこのように日本語訳することは、他の詩人についても事例がある。東アジア漢字文化圏における「詩」というものの普遍性について考える……これは、野暮いうものだろう。だが、近代における、東アジア地域での「日本語文学」を考えるとき、そのベースに、普遍的な漢文学世界を措定しておくことは無意味ではないであろう。

先日の、立命館GCOEのシンポジウムで、近代の文学にのみ論点が集中し、東アジア漢文学という視点からの発言がなかったので、野暮を承知で、付言する。

『陸游詩選』(岩波文庫).一海知義編.岩波書店.2007

『陸放翁鑑賞』.河上肇(著)/一海知義(校訂).岩波書店.2004

當山日出夫(とうやまひでお)

ARGオフ会(1)2008-02-21

2008/02/21 當山日出夫

まだ、私のカレンダーでは、21日。今日は、ARGのオフ会。先ほど、無事 に帰ったところ。7時からの会であったが、あっというまの3時間であった。 詳しくは、ARGの方に岡本さんの報告が掲載されるはず。全部で20名ほど の人があつまった。たくさんの名刺をもらった。ここでもらった名刺は、それ ぞれお互いに、貴重な財産となることだろう。

図書館関係の方々とのつながりができたことが、さいわいである。デジタル・ アーカイブを考えるとき、情報工学の視点、人文学研究者の視点、それに、図 書館の視点、それぞれが大事になる。

ARGを読んでいる人はどんな人なのであろうか・・・その関心が、人と人と をつなぐ。今回の、岡本真さんの企画は、大成功であったと評価したい。

とりあえずの報告。

當山日出夫(とうやまひでお)