マンガを読む順番 ― 2008-05-01
2008/05/01 當山日出夫
パラレルテキストについて、少し自分の考えを記してみたい。
パラレルなマンガ
http://d.hatena.ne.jp/moroshigeki/20080501/p1
言語は、基本的に、直線的(シーケンシャル)なものである。文字化した場合、パラレルテキスト、というものは、多様なありかたで存在するであろう。
漢籍であれば、本文があって、さらに、それに「注」「疏」が膨大に付加されている場合がある。この場合は、階層構造をもっているわけだが、読者の頭のなかでは、ある種のパラレルテキストを構成している、と言えるかもしれない。
あるいは、日本文学での和歌の本歌取りの技法。実際に表現された言語としては、シーケンシャルなひとつのものしかない。しかし、その歌を享受する側は、複数の歌を、レイヤーとして意識のなかで重ねている……このように見ることもできよう。
それから、いまだによく分からないのが、マンガを読む順番。コマ割、ではない。絵の方を先に見るか、文字(せりふ)の方を、先に見るか、である。少女マンガにおける、高度なテクニックとしての、パラレルテキストではなく、もっと低次元の問題として、である。
読者の自由と言ってしまえばそれまでだが、これについては、実証的な研究はあるのだろうか。つまり、読者の視線を記録する、認知科学の実験である。(ただ、私が、知らないだけなのであろうが。)
當山日出夫(とうやまひでお)
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