『変身』カフカ2018-07-05

2018-07-05 當山日出夫(とうやまひでお)

変身

世界文学の名作の読み直し。今日は『変身』である。

フランツ・カフカ.高橋義孝(訳).『変身』(新潮文庫).1952(2011.改版)
http://www.shinchosha.co.jp/book/207101/

これを読んだのは、高校生ぐらいの時だったろうか。なんとも奇妙な物語を読んだという印象であったのを覚えている。今回、数十年ぶりに再読してみて、やはり、不可解な、奇妙な小説であるという印象は変わらない。最初に読んだ時の印象として強く覚えていたのは、虫になったザムザに妹がリンゴを投げつけるシーン。今回、再読しても、このシーンは印象的である。

今の新潮文庫版は、改版して、活字が大きくなっている。解説も、新しいのがついている。それを見ると、この作品にどのような寓意を読みとるか、これまでにいろんな解釈がなされてきたらしい。読んで、「時代」を感じたのは、

「『変身』をマルクス主義的に解釈し、資本主義社会における公的生活と私的生活との矛盾が描かれているという解釈もある。」(p.134)

これは、有村隆広による新しい解説。高橋義孝閲とあるが、書かれたのは、1985年の日付がはいっている。

ベルリンの壁の崩壊が、1989年のことだから、1985年に書かれた解説に、このようなマルクス主義的解釈があったとしても、これはこれでおかしくはない。だが、今、二一世紀になって、このような解釈をする読み方はもう流行らないだろう。

それよりも、今日の、特に日本の視点で読むならば……虫に変身してしまうということの寓意は、たとえば「ひきこもり」、あるいは、逆に、「虐待」などを、感じて読むことができる。残念ながら、このようなニュースに接することが、最近、多いように思う。

この『変身』という小説は、その時代によって、多様に解釈がなされて読み継がれていくことになるのであろう。そして、どのような時代になって、『変身』の寓意が、何かしら社会の不条理を淡々と描いた作品として読めるのだとも思う。

カフカという作家、若い時に『変身』は読んだのだが、それ以外の作品は読まずにきている。他の作品も読んでおきたいと思う。

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