京都国立近代美術館「ユージン・スミス」2018-07-06

2018-07-06 當山日出夫(とうやまひでお)

京都国立近代美術館でやっている「横山大観展」を見てきたのは、先週のことである。このとき、四階では、コレクション・ギャラリーの展示があった。その中に、ユージン・スミスの写真も展示されていた。

平成30年度 第2回コレクション展
http://www.momak.go.jp/Japanese/collectionGalleryArchive/2018/collectionGallery2018No02.html

ユージン・スミスの名前は知っている。日本で有名になっているのは、水俣の取材写真においてであるかもしれない。このユージン・スミスの作品を、京都国立近代美術館では、かなり収集しているとのことである。

今回、展示されていたのは、そのコレクションから、『ライフ』などで活躍していた時代の作品をあつめたもの。「カントリー・ドクター」「スペインの村」などの写真群が展示されていた。

見て感じたことを書いておけば次の二点になるだろうか。

第一に、その絵画的作風とでもいうべきものである。

明暗の対比、構図のとりかた、いかにも絵画的である。極端なたとえになるかもしれないが、レンブラントなどを彷彿とさせる、光の描写が印象的である。これは、モノクロ写真ならではの効果といえるかもしれない。また、構図の視点から見ても、これも、いかにも絵画的という印象をうけるものが多くあった。

第二に、にもかかわらず、写真としてのリアリズムである。

『ライフ』などで活躍した写真家として、写真のリアリズムから離れることがない。いや、リアリズムを追求するなかに、上述の絵画的な作風が枠組みとしてある、というべきだろうか。

以上の二点が、ユージン・スミスの作品を見ながら感じていたことであった。

絵画的な構図とか、リアリズムとか、現代の写真が、むしろ、忘れてしまったことかもしれない。写真が芸術であるとして、その原点がどこにあるかを強く印象づける作品群であった。横山大観を見た後であったので、より強くこのことが印象に残っているということなのかもしれない。