アジア歴史資料センターのDVD2010-10-12

2010-10-12 當山日出夫

いわゆる「デジタルアーカイブ」というものを説明するのに、私の場合だと、国立公文書館のアジア歴史資料センターのDVDを見せることにしている。

以前に、ただでもらったのをつかっている。教材として学生に見せるため。

最初に簡単に、アーカイブズ、デジタルアーカイブ、などについて説明。DVDそれ自体は、20分ぐらい。あまった時間は、それについての感想文を書かせる。学生に、いきなり「デジタルアーカイブ」と言っても、すぐに、どんなものかイメージしにくいだろう。その点で、とても便利。

次の週からは、まず、「アーカイブズ」とは何か、という簡単な概説からはじまって、「デジタル」の「アーカイブズ」の問題点へとすすんでいく予定。

どうなるかわからないが、とりあえず、この方針でいくことにしようかと思っている。

當山日出夫(とうやまひでお)

アーカイブズから講義することに2010-10-11

2010-10-11 當山日出夫

授業の科目名(情報処理)からは、少しはなれてしまう感じがするが、まずは、「アーカイブズ」とは何であるか、というあたりから話しを始めることにする。そうでなければ、いわゆる「デジタルアーカイブ」の意味も、その価値も、また、問題点も、わからないだろう。

ただ単にデジタルデータを蓄積しておけば、それをすべて「デジタルアーカイブ」と言ってしまうのは、単純すぎる。それが、どのような、歴史的な流れのなかで生まれてきたのか、日本における事情はどのようなものであるのか、理解しておくことが必要かと思っている。

となると……教科書がないのである。伝統的な「アーカイブズ」(特に、公文書管理)になると、すでにテキスト類は出ているのであるが、最近の、デジタルアーカイブになると、学生が使うテキストとして適当な本が思いうかばない。

ここは、ひとつひとつ自分で、それぞれのインターネットのサイトを紹介していくしか方法はないのかもしれない。『ARG』のバックナンバーを見て、いろいろと探しながら、これから準備をすすめることとしよう。

當山日出夫(とうやまひでお)

文化政策パブリックコメント2010-06-20

2010-06-20 當山日出夫

文化庁の文化審議会、今、改定常用漢字表が注目されている。しかし、これ以外にも注目すべきものがある。

文化審議会文化政策部会「審議経過報告」に関する意見募集の実施について

である。このパブリックコメントを現在募集中。内容としては、文化政策全般にかかわるものであるが、個別に見ると、文化遺産の「アーカイブ」が、かなり大きくとりあげられている。

URLは、

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000469&Mode=0

パブリックコメントに意見を出す/出さないはともかくとして、とりえず、現在の我が国の文化政策の方向が、どのような方向にむかいつつあるのかを見る手がかりにはなるだろう。

當山日出夫(とうやまひでお)



『文化財アーカイブの現場』2010-05-04

2010-05-04 當山日出夫

この本を読んで、考え方が変わった。そう断言できる。文化財のデジタル・アーカイブ、これもなかなか捨てたものではない。いや、この方向に新しい未来がある、そう実感させてくれる。

『文化財アーカイブの現場-前夜と現在、そのゆくえ』.福森大二郎.勉誠出版.2010

http://www.bensey.co.jp/book/2225.html

そう大部な本ではないのだが、読むのに時間がかかってしまった。それは、読みながら考え込んでしまったから、である。本当に、この考え方でいいのであろうか、しかし、こう考えざるを得ない……このような思いにとらわれながら、考え考えしながら、ようやく読み終えた。

これまでの私の考えを端的にいえば、たかがデジタル複製ではないか、実物の方がいいにきまっている、まあ、このように考えていた。しかし、この考え方が、この本を読んで変わってしまった。デジタル技術を駆使した高精度複製物の製作にこそ、今後の、文化財の継承・保存がかかっているのである、と。

引用し出すとキリがないので、一箇所だけ、

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文化財アーカイブの意義を問われると、「存在を忘れないようにするために」と答える。(p.132)

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文化財は、人々に知られる存在であってこそ文化財たり得る。その可能性をひきだすのは、高精度のデジタル複製であったり、デジタルミュージアム高精細画像(VR)であったり。

このように著者がいう背景には、ベンヤミンのいうところの複製芸術への深い理解が根底にある、と言えば、だいたいわかる人にはわかってもらえるだろうか。また、複製を作成するにあたっての、データ、メタデータの保存にも、いや、むしろ、これの方に価値を見いだしている。高精度のデジタル複製技術が、従来の文化財(リアル)に、さらなる付加価値をつけて、将来にのこす原動力となる。

アーカイブズ、デジタルミュージアムに少しでも関心のある人には、是非とも読んでもらいたい本である。絶対におすすめ。

當山日出夫(とうやまひでお)

アーカイブズ学会に行ってきた2010-04-26

2010-04-26 當山日出夫

もう終わってしまった、研究会であるが、記録の意味で、こちらにも書いておく。時間などあは省略。どんな研究会があるかとう予告も大事だが、どんなふうにあったかという記録も大事である。

しかし、残念ながら、私は、最後の、企画研究は、出ずにかえってきた。でないと、夕方までに確実に家にたどりつけない。次週の用意の確認もあるし、そう遅くなるわけにはいかなかったので。

ともあれ、この学会。学会の運営主体の中心は、「アーキビスト」の人たちがになっているし、これはこれでいいと思う。しかし、研究発表の方は、あまり、「アーカイブズ」の枠にとらわれないで、いろんな発想からの研究発表がある。これが面白い。

ともあれ、これで、一仕事。(個人的にも、今度、東京に行ったついでに、ひとつの個人的な案件が、ともあれ済んだということになる。)後は、連休前の授業を無事に終わって、ちょっと一休みしたいところである。

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2010年4月24・25日(学習院大学)

2010年度総会

【会場:南3号館201教室】

大会講演会
【会場:同前】
・上川陽子(初代公文書管理担当大臣)
「時を貫く記録としての公文書管理の在り方~今、国家事業として取り組む」

懇親会
【会場:学習院大学輔仁会館2階「さくらラウンジ」】

4月25日(日) 受付開始 9:00

9:30~12:30 自由論題研究発表会 
※一報告 30分

【会場1:北1号館401教室】
・清水惠枝
「地方自治体のアーカイブズ意識とアーカイブズ機能の構築」

・毛塚万里
「アーカイブズ学の用語をめぐる一考察―教材研究の一助として―」

・山口拓史
「公文書管理法におけるライフサイクル管理論の整理」

・古賀崇
「米国連邦政府における電子的政府情報の管理・保存・公開をめぐる現状と課題:制度・政策的側面を中心に」

・研谷紀夫
「EAC-CPFとMADSに適応する人名典拠情報構築の試み―戦前期の皇族・華族に関する人名情報を中心として―」

【会場2:北1号館201教室】
・丑木幸男
「郡役所文書情報の集約とその特質」

・矢野篤
「廣池千九郎関係資料のアーカイブズ管理史」

・渡邉美喜
「ミュージアム・アーカイブズの有用性 ある展覧会での事例とともに」

・岡野裕行
「点在する文学資料とそのアーカイブズ環境の検討:文学館の所蔵資料情報の顕在化に関する予備考察」

・平野泉
「事例報告:死刑囚・永山則夫のアーカイブズ―編成・記述を中心に―」

・大石三紗子
「国民体育大会開催にかかわる行政文書―埼玉県と神奈川県の比較を中心に―」

14:00~17:00 企画研究会
【会場:北1号館201教室】

テーマ「公文書管理法がもたらすアーカイブズ学の課題
    ~“レコードスケジュール” を中心に~」

・石原一則(神奈川県立公文書館資料課長)
「記録の評価選別とレコードスケジュール」

・任眞嬉(イム・ジニ)(韓国国家記録研究院学術研究処長)
「レコードスケジュールとしての韓国の政府機能分類(BRM)と記録管理基準表の役割と展望」

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當山日出夫(とうやまひでお)

アーカイブズ学会プログラム2010-03-24

2010-03-24 當山日出夫

2010年度の日本アーカイブズ学会のプログラムです。
学会から来たメールによる案内を転記します。

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会期  4月24日(土)・25日(日)
会場  学習院大学(JR山手線 目白駅徒歩5分)
参加費 会員1000円(学生800円)、非会員1500円 ※事前申込み不要

4月24日(土) 受付開始 13:00
13:30~15:00 2010年度総会 会場:南3号館201教室
15:30~16:30 大会講演会 会場:同前
上川陽子(初代公文書管理担当大臣)
「時を貫く記録としての公文書管理の在り方~今、国家事業として取り組む」
17:00 懇親会 会場:学習院大学輔仁会館2階「さくらラウンジ」

4月25日(日) 受付開始 9:00
9:30~12:30 自由論題研究発表会   ※一報告30分

【会場1:北1号館401教室】
清水惠枝「地方自治体のアーカイブズ意識とアーカイブズ機能の構築」
毛塚万里「アーカイブズ学の用語をめぐる一考察―教材研究の一助として―」
山口拓史「公文書管理法におけるライフサイクル管理論の整理」
古賀崇「米国連邦政府における電子的政府情報の管理・保存・公開をめぐる現状
と課題:制度・政策的側面を中心に」
研谷紀夫「EAC-CPFとMADSに適応する人名典拠情報構築の試み
―戦前期の皇族・華族に関する人名情報を中心として―」

【会場2:北1号館201教室】
丑木幸男「郡役所文書情報の集約とその特質」
矢野篤「廣池千九郎関係資料のアーカイブズ管理史」
渡邉美喜「ミュージアム・アーカイブズの有用性 ある展覧会での事例とともに」
岡野裕行「点在する文学資料とそのアーカイブズ環境の検討:
文学館の所蔵資料情報の顕在化に関する予備考察」
平野泉「事例報告:死刑囚・永山則夫のアーカイブズ―編成・記述を中心に―」
大石三紗子「国民体育大会開催にかかわる行政文書―埼玉県と神奈川県の比較を
中心に―」

14:00~17:00 企画研究会 会場:北1号館201教室
テーマ「公文書管理法がもたらすアーカイブズ学の課題
~“レコードスケジュール”を中心に~」

石原一則(神奈川県立公文書館資料課長)
「記録の評価選別とレコードスケジュール」
任眞嬉(イム・ジニ)(韓国国家記録研究院学術研究処長)
「レコードスケジュールとしての韓国の政府機能分類(BRM)と記録管理基準表の役割と展望」

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當山日出夫(とうやまひでお)

WEBマガジンAMeeTの記事2010-03-07

2010-03-07 當山日出夫

ニッシャ印刷文化振興財団というところが作っている、
AMeeT-京都から世界へ-
というWEBマガジンがある。

AMeeT
http://www.ameet.jp/

これに最近、私の書いたものが掲載になっている。

Digital Archives デジタルアーカイブの現場から
ここに、
文化とコンピューティング
について書いた。先日の、京都大学でのシンポジウムである。それから、内容のなかには、国会図書館でのシンポジウムの内容なども、書いてある。

デジタルアーカイブのコーナーなのであるが、あえて、「デジタルアーカイブ」は、「アーカイブズ」に限定してつかった。「Digital Preservation」というべきことを述べておいた。

http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20100305/#page_tabs=0

気が向いたら、読んでみてもらいたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

『日本の公文書』2010-03-04

2010-03-04 當山日出夫

松岡資明.『日本の公文書』.ポット出版.2010
http://www.pot.co.jp/books/isbn978-4-7808-0140-8.html

ひょっとすると、Europeanaについて、もっとも簡潔に説明してある本は、今の日本では、この本かもしれない。Europeanaというと、一般的なイメージとしては、デジタル・ミュージアムの方向からかと思う。だが、そうではない、Europeanaは、MLA連携のうえになりたっている。だから、A(アーカイブズ)の方向から見ても、価値がある。

とりあえず目次をざっと紹介すれば、

I 公文書管理法はなぜ、必要なのか
II 公文書管理法の成り立ち
III 深くて広いアーカイブズの海
IV デジタル化の功罪
V 記録資料を残す意味
VI 記録資料を残すには

である。

アーカイブズとは何であるか、という基本の解説。それに、現在の日本でようやく成立したところの、公文書管理法の問題点。それをふまえて、各種の記録資料を残す(アーカイブズ)の価値を解説していく。

そのなかで、デジタル化についても触れられている。このなかの一事例として、Europeanaが紹介されるという位置づけになる。人文情報学の立場からするとやや唐突な感じがしないでもない。しかし、本来のアーカイブズと、Europeanaの意義からすれば、この方向が正しいのかもしれないと思うのである。

デジタル化の功罪の章は、アーカイブズから少し離れて、デジタル・ライブラリ、デジタル・ミュージアム、についても言及がある。いや、デジタルになったとき、これらは分離するというよりも、むしろ共通になる方向に向かうべきであろう。そして、そこで発生する問題点も共有することになる。

この本、いわゆる「デジタルアーカイブ」については、かなり批判的な、あるいは、距離を置いた視点で記述してある。この意味において、今日の「デジタルアーカイブ」のかかえる問題点を知るには、まさに適切な書物であるといえよう。

タイトルは『日本の公文書』とあるが、むしろ、デジタル技術による文化資源の保存に興味のある人に読んでもらいたい本である。

當山日出夫(とうやまひでお)

知的資産を繋ぐ-ヨーロッパの実践2010-03-03

2010-03-03 當山日出夫

どこかに、簡潔に、Europeanaについて書いたサイトがないものだろうか。

Wikipediaの項目は、「Europeana」で検索すると「ヨーロピアナ」に移行して、ほんのわずかの説明しかない。かといって、本家のサイトにリンクしても、それこそ、いったいこれがなんであるのか、わからない。

昨日の、国立国会図書館の

デジタル情報資源ラウンドテーブル発足記念講演会
「知的資産を繋ぐ-ヨーロッパの実践」

に行ってきた。開催は東京。近くの関西館でも中継で参加できたので、こちらに。

内容は以下のとおり、
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/mlalecture.html

講演「デンマークのデジタルコンテンツポータル"KulturPerler(文化の真珠)"の現状と展望-MLA連携の視点から」
  エルランド・コールディング・ニールセン氏(デンマーク王立図書館長)

講演「Europeana:その過去、現在、未来と真のMLA連携」
  ジル・カズンズ氏(欧州デジタル図書館事務局長)

パネルディスカッション「MLA連携の意義について」
  エルランド・コールディング・ニールセン氏(デンマーク王立図書館長)
  ジル・カズンズ氏(欧州デジタル図書館事務局長)
  田窪 直規氏(近畿大学短期大学部教授)
  長尾 真(国立国会図書館長)

まあ、だいたいわかるのであるが……やはり隔靴掻痒の感はまぬがれない。特に、Europeanaについては、冒頭で、かなり具体的に、アール・ヌーボーの事例をひいて、いろんな検索結果画面を紹介してくれていた。これはこれでわかるのであるが、しかし、いまひとつ実感として強烈な印象があるところまでいかない。

これは、日本とヨーロッパの美術作品のデジタル化(WEBでどう見せるか)の文化の違いもあるのかもしれない。あるいは、私が、予備知識が無いということもあろう。なによりも、自分で探していないので、というのが致命的。(これが日本の古典籍類なら、問題点などすぐにわかるのであるが。)

このような、(私のような)人間にも、概略、Europeanaとはどんなものであるのか、実感できるには、どうすればいいのだろうか。個別のデータの画像の質とか、判断しながら見るということが必要になるのであるが。

しかし、一方で、説明の方は、比較的よくわかる。Europeanaは、アグリテータのアグリゲータである。つまり、各EU諸国の機関が持っているデータを集めて整理して提供している。このような理念の部分は、理解できる。

日本で、国会図書館が中心になって、「デジタル情報資源ラウンドテーブル」を構想する、実際につくった、ということであるならば、その次のステップは、具体的に、ではどのようなことができるのかビジョンを示すことだろう。その代表例が、やはり、EUのEuropeanaになる。このEuropeanaを、わかりやすく解説するサイト……Wikipediaでもよい……これを、つくって明示することが、急務ではないであろうか。

まずは、関係者に、ウィキペディアの、Europeanaの日本語版の項目の執筆をお願いしたいところである。

當山日出夫(とうやまひでお)

アーカイブの発想と連想 - 絵引ギャラリーの開発と連想検索システム-2010-03-02

2010-03-02 當山日出夫

JADS(アート・ドキュメンテーション学会)のブログ版にも掲載である。渋沢財団のブログにも掲載になっていたので、ついでに、ここでも。

ミュージアムラボ - コミュニケーション技術展

http://www.dnp.co.jp/seminar/ml/

3月5日(金)
アーカイブの発想と連想
―絵引ギャラリーの開発と連想検索システム―

講師:丸川雄三(国立情報学研究所 連想情報学研究開発センター 特任准教授)
日時:2010年3月5日(金) 13:30-16:30
場所:DNP五反田ビル(東京都品川区西五反田3-5-20)
主催:DNP年史センター

當山日出夫(とうやまひでお)