望月三起也『最前線』2008-02-22

2008/02/22 當山日出夫

急にマンガの話しになる。まあ、普通は、親が子供に漫画の本を買ってきて読ませるということはないであろう。少なくとも、私の子供の時代は、漫画は、「読んではいけない本」であった。だが、それが、今では、アカデミックな研究対象になっていることは、周知の事実。先に記した、京都造形芸大でのシンポジウムなど、そうである。

今日、読んだ本を、まず、記す。

林壮一.『アメリカ下層教育現場』(光文社新書).光文社.2008

この本については、すでに、いろんな書評などで、とりあげられているようなので、触れない。読んでいた途中、ふと次の箇所に目がとまった。

本来ならば、この日は、『442歩兵連隊』と呼ばれる日系アメリカ人部隊の話まで進めたかった。(p.123)

私の年代であれば、ここから連想するのが、望月三起也、である。今、手元にあるのは、

『二世部隊物語』(1~7).集英社.2001

の文庫本である。この作品、第二次大戦(この場合は、太平洋戦争よりもこの名称がいいだろう、主に、ヨーロッパの戦場が舞台なので)において、戦った日系人兵士を描いている。彼らは何のために戦ったのか……自らが「アメリカ人」であることの証のため、である。

たまたま、としか言いようがない。私の年代が、小さいとき、漫画を読んだなかで、この一連の作品があった。いろんな雑誌に異なったタイトルで掲載されていたのだが、最も記憶に鮮明に残っているのが、『最前線』。

今の子供は、ほうっておいてもマンガは読むであろう。特に、親が買ってやることもない。だが、ほうっておいたら読まないであろう、しかし、読ませておきたい漫画というものがある。そのひとつが、望月三起也のこの作品。

マイノリティ(日系人)であるがゆえに、最も危険な任務に自らたずさわった「日本人」がいたことを。そして、それは、まさに、日本がアメリカと戦っていた、その大きな歴史的な戦争の一部でもあったことを、忘れてはならない。少なくとも、私は、そう思う。

文庫本の解説を読むと、出典不明、の作品があるよし。これには、やはりおどろく。たった40年ほどまえの漫画の「出典が不明」、であるとは……いったい、どうなっているのだろう。

今後のこの分野の研究者の仕事に期待したい。

ちなみに、同じ意味で、子供に読ませておきたいと思って買ったのが、『紫電改のタカ』(ちばてつや)。この作品、実在の人物が登場する。源田実、など。そして、真珠湾攻撃のとき、源田実と同く、空母赤城(だったと思うが)にいたのが、淵田美津雄。戦後、源田実は、国会議員になり、淵田美津雄は、キリスト教の伝道にたづさわった。『真珠湾攻撃総隊長の回想』は、まだ買ったばかりで読んでいない。追って感想を書くつもり。話しがそれてしまった。

當山日出夫(とうやまひでお)

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