新常用漢字:しんにゅうのてん(2)2009-01-13

2009/01/13 當山日出夫

先に、1月9日に書いた件について、安岡さんより、コメントをいただいている。読売新聞の昨年の記事。明日にでも、早い目に学校に行って、図書館にたちよることにしよう。(安岡さん、どうもありがとうございました。)

そういえば、「しんにゅう」の「てん」が一つか二つかをめぐって議論することの無意味さを、一昨日の白川研の講演会で石塚先生も、おっしゃっていた。書体と字体の階層性。また、字体とは、地域と時代を限定しないと意味がない、ということをふまえての話し。(私の理解する範囲においてであるが。)

新常用漢字の最大の問題点は、それはそれとして閉じた文字の体系を作ったとしても、現実の日本語の表記における運用では、絶対にほころびが生じるであろう。

第一には、文字セット(字種)のレベルでは、「表外漢字」「JIS漢字」さらには「ユニコード」と、併用せざるをえない。固有名詞で、都道府県名まではカバーできても、そのしたの、市区町村のレベルになると、もう無理である。

第二には、書体を明朝体で規定することになってしまうこと。対応策として手書き字体との関係を例示せざるをえない。教育を視野にいれれば、これは、絶対に必要。明朝体どおりに書くことなどできないのであるから。そして、そのうえで、明朝体にも、種々の種類があること。デザイン差。さらに、字体の包摂。これらを、どのように、総合的に説明するか。

では、新常用漢字を決めることの意味・目的はいったい何であるのか。振り出しにもどってしまう。まあ、目的を明確にしないで、ことを始めてしまったことになるのかもしれない。だが、ここは、観察者の視点で、というわけにはいかない。日本語の文字を使っている一人一人が、ひとしく当事者である、という認識でのぞみたい。

公的な規範であるからこそ、人々の一人一人が当事者なのである。委員会だけが、当事者ではない(責任はあるかもしれないが)。

當山日出夫(とうやまひでお)

新常用漢字:WS文字のプログラムの更新2009-01-13

2009/01/13 當山日出夫

2009年2月7日の国立国語研究所での、
「第2回 ワークショップ:文字ー文字の規範ー」

この最新のプログラム。

http://www2.kokken.go.jp/egov/ws_moji090207.html

>>>>>

プログラム(予定)

13:15-13:30 基調報告  當山日出夫(立命館大学グローバルCOE)
「景観文字と字体規範-「祇園」のその後-」

13:30-14:00 発表(1)  小形克宏(フリーライター)
「表外漢字における略字体の普及と衰退」

14:00-14:30 発表(2) 小池和夫(築地電子活版)
「JIS X 0213 漢字の選定規準とその問題―JIS X 0213では漢字の選定については,区点位置詳説を掲載していない。選定にあたってはWGで長時間の議論が行なわれたが,最終的に選定の規準を確定することはできなかった。十年一昔というが,選定から10年を経た今,選定にあたってWGでどのような議論があったのか,いくつかの実例を示して検証してみたい。―」

14:30-15:00 発表(3)  狩野宏樹(イワタ)
「字形規範とフォントデザイン」

15:00-15:15 休憩

15:15-15:45 発表(4)  師茂樹(花園大学)

15:45-16:15 発表(5)  池田証寿(北海道大学)
「字書記述と実用例とを連関させた漢字字体の研究方法について」

16:15-16:45 発表(6)  林立萍(台湾大学)
「台湾の大学入試センターの日本語語彙表に見られる漢字」

16:45-17:00 休憩

17:00-18:00 全体討論

終了後,懇親会を予定しています。

<<<<<

當山日出夫(とうやまひでお)