『ARG』416号の感想2010-03-01

2010-03-01 當山日出夫

『ARG』416号の感想をすこし。

部数が増えている。前号が4931部、今回の号は4951部。四捨五入すると、5000に手がとどく。(さりげない部分かもしれないけれど、5000が限界かと岡本さんが言っていたのを思い出す。増えても5000ぐらいかもしれないけれども、やはり5000部突破をめざしてほしいものである。)

その一方で、残念、と思うのが一つ。マイタン、である。出られない。

「『図書館』の未来を探る勉強会
         -マイニング探検会(マイタン)を始めます」

とあるのだが、開催場所を見ると、東大(本郷)とある。これが京都ならいうことない。あるいは、時々でも、大阪開催とか、京都開催であるなら、すぐにでも申し込みするのだが、毎回、東京というのでは、はい参加しますというわけにはいかない。ちょっと残念である。

しかし、この趣旨はいい。

(試験的に1年間継続し、以降は要望を踏まえて検討)

という但し書きがあるのだから、場合によっては、大阪・京都開催をふくめて、将来の課題としてもらいたい、と今から思っている。

国立国会図書館若手連続インタビュー(4)
    「情報のゴミ箱としての国立国会図書館-井上奈智さん」

については、明日にまわそう。これも、内容もりだくだんのインタビューなので、どこにどうコメントしようか迷う。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』416号の感想(2)2010-03-02

2010-03-02 當山日出夫

図書館をたとえてゴミ箱(=リサイクルボックス)、というのは、なかなか秀逸な発想だと思う。

国立国会図書館若手連続インタビュー(4)
「情報のゴミ箱としての国立国会図書館-井上奈智さん」

具体的には、次のように語られている。

>>>>>

◆-井上:
最後の砦という言葉がでていましたが、いま情報過多でいろんな情報をとりあ
えず集めておく、っていうのがいちばんの国立国会図書館の使命だと思うので
す。
そして、同時にリサイクルセンターのようになって、こういう風に加工できる
よ、っていうのを見せていく。そういう過程を見てもらって、自分で活用を考
えてもらったり、あ、あれどこやったっけって思った方にゴミ箱に入っていま
したよ、私たちがとっておきました!っていえるような存在に国立国会図書館
はなってもらいたいです。

<<<<<

この発想でいくならば、資料は図書資料に限定しないだろう。いわゆるMLA(美術館、博物館、図書館、文書館など)にはばひろく適用されるべき考え方ではないだろうか。図書館ではもてあましてしまった資料であっても、それが、博物館資料、あるいは、文書館資料としては、きわめて貴重という例は多いだろう。これは、今後、デジタル技術を基盤とした、MLA連携にむけての基本の発想として重要かもしれない。

いやむしろ事態は先に進んでいるともいえる。もはや、図書館が図書館としの従来の機能だけでは、もはや機能しない時代になってきているのではなかろうか。

いまいちど図書資料とは何かを再定義するなかで、これまでの図書館の枠組みを超えた取り組みがはじまることに期待したい。

當山日出夫(とうやまひでお)

アーカイブの発想と連想 - 絵引ギャラリーの開発と連想検索システム-2010-03-02

2010-03-02 當山日出夫

JADS(アート・ドキュメンテーション学会)のブログ版にも掲載である。渋沢財団のブログにも掲載になっていたので、ついでに、ここでも。

ミュージアムラボ - コミュニケーション技術展

http://www.dnp.co.jp/seminar/ml/

3月5日(金)
アーカイブの発想と連想
―絵引ギャラリーの開発と連想検索システム―

講師:丸川雄三(国立情報学研究所 連想情報学研究開発センター 特任准教授)
日時:2010年3月5日(金) 13:30-16:30
場所:DNP五反田ビル(東京都品川区西五反田3-5-20)
主催:DNP年史センター

當山日出夫(とうやまひでお)

知的資産を繋ぐ-ヨーロッパの実践2010-03-03

2010-03-03 當山日出夫

どこかに、簡潔に、Europeanaについて書いたサイトがないものだろうか。

Wikipediaの項目は、「Europeana」で検索すると「ヨーロピアナ」に移行して、ほんのわずかの説明しかない。かといって、本家のサイトにリンクしても、それこそ、いったいこれがなんであるのか、わからない。

昨日の、国立国会図書館の

デジタル情報資源ラウンドテーブル発足記念講演会
「知的資産を繋ぐ-ヨーロッパの実践」

に行ってきた。開催は東京。近くの関西館でも中継で参加できたので、こちらに。

内容は以下のとおり、
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/mlalecture.html

講演「デンマークのデジタルコンテンツポータル"KulturPerler(文化の真珠)"の現状と展望-MLA連携の視点から」
  エルランド・コールディング・ニールセン氏(デンマーク王立図書館長)

講演「Europeana:その過去、現在、未来と真のMLA連携」
  ジル・カズンズ氏(欧州デジタル図書館事務局長)

パネルディスカッション「MLA連携の意義について」
  エルランド・コールディング・ニールセン氏(デンマーク王立図書館長)
  ジル・カズンズ氏(欧州デジタル図書館事務局長)
  田窪 直規氏(近畿大学短期大学部教授)
  長尾 真(国立国会図書館長)

まあ、だいたいわかるのであるが……やはり隔靴掻痒の感はまぬがれない。特に、Europeanaについては、冒頭で、かなり具体的に、アール・ヌーボーの事例をひいて、いろんな検索結果画面を紹介してくれていた。これはこれでわかるのであるが、しかし、いまひとつ実感として強烈な印象があるところまでいかない。

これは、日本とヨーロッパの美術作品のデジタル化(WEBでどう見せるか)の文化の違いもあるのかもしれない。あるいは、私が、予備知識が無いということもあろう。なによりも、自分で探していないので、というのが致命的。(これが日本の古典籍類なら、問題点などすぐにわかるのであるが。)

このような、(私のような)人間にも、概略、Europeanaとはどんなものであるのか、実感できるには、どうすればいいのだろうか。個別のデータの画像の質とか、判断しながら見るということが必要になるのであるが。

しかし、一方で、説明の方は、比較的よくわかる。Europeanaは、アグリテータのアグリゲータである。つまり、各EU諸国の機関が持っているデータを集めて整理して提供している。このような理念の部分は、理解できる。

日本で、国会図書館が中心になって、「デジタル情報資源ラウンドテーブル」を構想する、実際につくった、ということであるならば、その次のステップは、具体的に、ではどのようなことができるのかビジョンを示すことだろう。その代表例が、やはり、EUのEuropeanaになる。このEuropeanaを、わかりやすく解説するサイト……Wikipediaでもよい……これを、つくって明示することが、急務ではないであろうか。

まずは、関係者に、ウィキペディアの、Europeanaの日本語版の項目の執筆をお願いしたいところである。

當山日出夫(とうやまひでお)

『日本の公文書』2010-03-04

2010-03-04 當山日出夫

松岡資明.『日本の公文書』.ポット出版.2010
http://www.pot.co.jp/books/isbn978-4-7808-0140-8.html

ひょっとすると、Europeanaについて、もっとも簡潔に説明してある本は、今の日本では、この本かもしれない。Europeanaというと、一般的なイメージとしては、デジタル・ミュージアムの方向からかと思う。だが、そうではない、Europeanaは、MLA連携のうえになりたっている。だから、A(アーカイブズ)の方向から見ても、価値がある。

とりあえず目次をざっと紹介すれば、

I 公文書管理法はなぜ、必要なのか
II 公文書管理法の成り立ち
III 深くて広いアーカイブズの海
IV デジタル化の功罪
V 記録資料を残す意味
VI 記録資料を残すには

である。

アーカイブズとは何であるか、という基本の解説。それに、現在の日本でようやく成立したところの、公文書管理法の問題点。それをふまえて、各種の記録資料を残す(アーカイブズ)の価値を解説していく。

そのなかで、デジタル化についても触れられている。このなかの一事例として、Europeanaが紹介されるという位置づけになる。人文情報学の立場からするとやや唐突な感じがしないでもない。しかし、本来のアーカイブズと、Europeanaの意義からすれば、この方向が正しいのかもしれないと思うのである。

デジタル化の功罪の章は、アーカイブズから少し離れて、デジタル・ライブラリ、デジタル・ミュージアム、についても言及がある。いや、デジタルになったとき、これらは分離するというよりも、むしろ共通になる方向に向かうべきであろう。そして、そこで発生する問題点も共有することになる。

この本、いわゆる「デジタルアーカイブ」については、かなり批判的な、あるいは、距離を置いた視点で記述してある。この意味において、今日の「デジタルアーカイブ」のかかえる問題点を知るには、まさに適切な書物であるといえよう。

タイトルは『日本の公文書』とあるが、むしろ、デジタル技術による文化資源の保存に興味のある人に読んでもらいたい本である。

當山日出夫(とうやまひでお)

グーグルへの対抗意識2010-03-05

2010-03-05 當山日出夫

国会図書館でのシンポジウムとか、あるいは、京大での「文化とコンピューティング」などで、感じたこと。日本では、グーグルに対する対抗意識が希薄なのではないか。

いや逆だろう。ヨーロッパの方であると、はっきりと、対グーグル(アメリカ)という意識を明確に持っている。自分の国の文化遺産、文化資源は、自らの責任でデジタル化して発信するのだ、という強固な意志を感じる。

これにくらべると日本はどうだろう。国会図書館の大規模デジタルライブラリ構想とはいっても、グーグルブックサーチに対抗して、自国の文化遺産(書籍)を、自国の手でデジタル化するのだ、という意識があるか、どうか。どうも、これまでの、グーグルブックサーチをめぐる日本での議論は、そういう方向ではないように思えてならない。

それから、この観点から重要なこと。ヨーロッパが、対グーグルということで、自らの文化資源をデジタル化するという方向を選んでいるということは、つまり、ヨーロッパのものから優先的にデジタル化され発信されるということである。

欧米には、多数の日本の(あるいは、東洋・東アジアのと言ってもよいか)美術品などがある。これらの、調査・研究、そして、デジタル化と発信が、後回しにされる、ということを意味する。これでいいのだろうか、と思うが。さて、どうだろうか。

グローバルなデジタルの社会になっての、ナショナリズムというものを無視はできない。これは、東アジアにあっても、中国・韓国についても言えるだろう。

當山日出夫(とうやまひでお)

DHワークショップ20102010-03-06

2010-03-06 當山日出夫

デジタル・ヒューマニティーズワークショップ2010

http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~dhw2010/

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Osaka Workshop on Digital Humanities 2010
デジタルヒューマニティーズ・ワークショップ 2010

2010年3月20?22日 於 大阪大学大学院言語文化研究科(豊中キャンパス)
研究科棟2階大会議室
アクセス:
http://www.lang.osaka-u.ac.jp/lc/index.cgi?page=%C3%CF%BF%DE%A1%A6%A5%A2%A5%AF%A5%BB%A5%B9

◯阪急電車宝塚線 石橋駅(特急・急行停車)下車 東へ徒歩 約10~15分
◯大阪モノレール 柴原駅下車 徒歩約10~15分

◆ワークショップの目的・対象
情報メディアとしてのコンピュータやインターネットの普及により,人文科学においてもデジタル技術の応用が進み,「デジタルヒューマニティーズ (digital humanities)」という学際・複合領域が創成されつつあります。本ワークショップは人文系の研究者や学生を対象として講義と実践演習を行うデジタルヒューマニティーズ入門講座です。
ワークショップの講義では,人文科学資料のデジタル化にまつわる諸問題,およびコンピュータを活用したテクスト分析を中心に,具体的な事例を紹介するとともに,その技術や方法論について解説します。一方,ハンズオンセッションでは講義で紹介したツールや技法を用いて,データのコード化,整形や分析,さらにはテクストマイニングを行うなど実践的なトレーニングプログラムを提供します。

◆講師
Harold Short (Centre for Computing in the Humanities, King's College London) Lisa Lena Opas-H・nninen(University of Oulu, Finland)
Espen S. Ore(University of Oslo, Norway)
Gerhard Brey (Centre for Computing in the Humanities, King's College London)
永崎 研宣(人文情報学研究所)
田畑 智司 (大阪大学)
三宅 真紀 (大阪大学)
小林 雄一郎(大阪大学大学院)

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◆参加を希望される皆様へ
参加者は各自ノートパソコン(無線LAN IEEE802.11b対応)を持参してください。

◆参加申込(先着30名)
参加をご希望の方は以下の情報を添えて dhw2010 (AT) lang.osaka-u.ac.jp 宛電子
メールでお
申し込み下さい。*ご注意:スパム対策のために一部アドレスを改変しております。
 (AT) を @ マークに替えて前後のスペースを削除して下さい。
電子メールの「件名・標題(Subjecct)」欄に dhw2010signup とご記入の上,下記の
情報を電子メール本文としてご記入下さい。
1) ご氏名
2) ご所属 [学生の方は最後に(院生 or 学部生)とご記入いただけますと幸いです。]
3) 電子メールアドレス
4) ご使用のコンピュータのOperating System (OS) (e.g., Windows 7, Mac OS X, W indows XP, etc.)
5) 受講希望のコース A) Text analysis/Text mining B) Digitization of scholarl y humaniti es resources 不要な方をお消し下さい
*以下は該当の方のみご記入下さい。
6) もし全日程の受講ができない場合,参加可能な日時
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◆スケジュール
□Sat. 20 March
会場:大阪大学大学院言語文化研究科棟2階大会議室
Core programme (common to Rooms 1 & 2)
Plenary introduction to ditigal humanities:
Harold Short (CCH, King's College London),他

タイムテーブル
12:00--        受付
13:00--13:15  オープニング
13:15--13:30  ALLC代表挨拶  Harold Short (CCH, King's College London) 13:30--18:10  Lectures (Core modules) The state of Digital Humanities, etc.

□Sun. 21 March
Parallel sessions
Room 1(言語文化研究科2階大会議室): Text analysis/Text mining Lisa Lena Opas-H・nninen, Gerhard Brey, Maki Miyake Room 2(言語文化研究科1階大会議室): Digital database/Digitization of  scholarly humanities resources Espen Ore, Kiyonori Nagasaki, 他

タイムテーブル
10:00--12:00        セッション 1 (第1,2室共通)講義+ハンズオン演習
12:00--14:00        Lunch
14:00--15:30        セッション 2 講義+ハンズオン演習
16:00--18:00        セッション 3 講義+ハンズオン演習

□Mon. 22 March
Parallel sessions & Common programme
Room 1(言語文化研究科2階大会議室): Text analysis/Text mining Lisa Lena Opas-H・nninen, Tomoji Tabata and Yu'ichiro Kobayashi Room 2(言語文化研究科1階大会議室): Digital database/Digitization of schola rly humani ties resources Espen Ore, Kiyonori Nagasaki, 他

タイムテーブル
09:30--10:50        セッション 4 応用編
11:10--12:30        セッション 5 応用編
12:30--14:30        Lunch
14:30--15:30        セッション 6 応用編
15:30        Closing remarks
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當山日出夫(とうやまひでお)

WEBマガジンAMeeTの記事2010-03-07

2010-03-07 當山日出夫

ニッシャ印刷文化振興財団というところが作っている、
AMeeT-京都から世界へ-
というWEBマガジンがある。

AMeeT
http://www.ameet.jp/

これに最近、私の書いたものが掲載になっている。

Digital Archives デジタルアーカイブの現場から
ここに、
文化とコンピューティング
について書いた。先日の、京都大学でのシンポジウムである。それから、内容のなかには、国会図書館でのシンポジウムの内容なども、書いてある。

デジタルアーカイブのコーナーなのであるが、あえて、「デジタルアーカイブ」は、「アーカイブズ」に限定してつかった。「Digital Preservation」というべきことを述べておいた。

http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20100305/#page_tabs=0

気が向いたら、読んでみてもらいたい。

當山日出夫(とうやまひでお)

日本のCH2010-03-08

2010-03-08 當山日出夫

先日の「文化とコンピューティング」、AMeeTのWEBマガジンに書かなかったことなど、少し。

CH(人文科学とコンピュータ)の研究会での発言。私のノートによれば、後藤さんからの問題提起となっている。(あくまでも、私のノートから)。

日本は、日本独自のCH(Computer and Humanities)があるのではないか。世界でいうDH(Digital Humanities)とは、違う方向をむいているのかもしれない。日本の場合、芸術、人文地理学、文化人類学などの領域が多いのが特徴。画像データや、モーションキャプチャなどもふくんでいる。テキスト処理のテーマに乏しい。

さて、どうかんがえるか。以下、私見。

日本の場合、言語処理が、特別に独立してしまっている。決して研究がないわけではない。非常にさかんであるといっていいだろう。だが、言語処理研究をやっている人たちが、自分たちの研究分野を、CH(または、DH)と、思ってはいないであろう(と推測される)ところに、問題があるのかもしれない。

実際に、あまり、研究会などでの交流は無いと言っていいだろう。

ちょうど、今日、言語処理学会を開催している。これに、CH・DHにかかわると自称するひとたちが、どれほど参加していることか。このことの是非をここで言ってもしかたない。しかし、このような現実である、ということはふまえておく必要があるだろう。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』417号の感想2010-03-09

2010-03-09 當山日出夫

『ARG』417号について、すこし。発行部数が、さらに前号より増えている。もうじき、5000に達するのではなかろうか。現在、4968部。

国立国会図書館若手連続インタビュー(5)
「立場を踏まえ怖がらないで外部発信-大貫朋恵さん」

気になったやりとりを一箇所だけ引用すると、

>>>>>

◇-岡本:
あと、レファレンス協同データベースで言えば、図書館に閉じない方向に進む
と面白いですね。昨年の秋に大阪で開催された大阪府公共図書館大会で、大阪
市自然史博物館の方が、レファレンス協同データベースの可能性と課題を指摘
されていたのが印象的でした。
自然史博物館にも図書館で言うところのレファレンスにあたるような様々な質
問が寄せられる。レファレンス協同データベースは博物館も参加できていいの
ではないか、と。

◆-大貫:
なるほど、現在は、博物館図書室の参加もありますが、あくまで「図書館」と
しての参加ですね。
先日、外部の有識者の方から、レファレンス協同データベースに収録されてい
る「特別コレクション」(各図書館で所蔵している貴重書や個人文庫などに関
する情報)をもっと見直すべきかもしれない、というご意見をいただいたので
すが、たとえばそんなところでも連携ができると面白いのかもしれません。

<<<<<

これは、いわゆるMLA連携にあたる。M(博物館・美術館)にも、専門の図書館をもっている。また、L(図書館)においても、その業務記録(アーカイブズ)は必然的に発生する。

この方向をふまえて、後述の、「デジタル情報資源ラウンドテーブル」になる、と私は理解する。いまのところ、デジタル化という点では、図書館(L)が、他に一歩さきんじているということは確かである。しかし、その有効な利用のためには、基礎として「アーカイブズ」の発想が必要である。また、博物館・美術館との連携もかかせない。

特に、上述に引用の「特別コレクション」になると、たまたま所有しているのが、図書館であったり、博物館・美術館であったり、文書館・資料館や大学であったり、というだけの偶然的な要因がある。ここは、相互の柔軟な連携が必要になる。

情報は発信するところに集まる……であるならば、MLA連携についても、まずそのことについて情報発信するところに、各種の情報があつまってくる。この意味で、最近の、国立国家図書館の一連のシンポジウムなどのとりくみは、きわめて貴重であるといえよう。

當山日出夫(とうやまひでお)