『いだてん』あれこれ「雨ニモマケズ」2019-02-05

2019-02-05 當山日出夫(とうやまひでお)

『いだてん~東京オリムピック噺~』2019年2月3日、第5回「雨ニモマケズ」
https://www.nhk.or.jp/idaten/r/story/005/

前回は、
やまもも書斎記 2019年1月29日
『いだてん』あれこれ「小便小僧」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/01/29/9030061

この回になって、ようやく第一回の放送にストーリーが回収されてきたことになる。羽田でのオリンピック選手選考である。そのマラソンで、四三は優勝する。しかも、世界記録であるという。

このあたり、もうちょっと国威高揚……というか、ある意味でのナショナリズムというか、を感じさせる描き方ができたのかもしれないが、まったくそんな雰囲気は無かった。なんだか、どんちゃんさわぎのなかで、競技がおこなわれ、選手が決まったようである。はては、嘉納治五郎までが、天狗倶楽部の面々と一緒になって、うかれさわいでいた。

まあ、一つには、ようやく「一等国」になったとはいえ、一般庶民の視線からみれば、オリンピックはおろか、スポーツというものさえ、いったいなんだかわからない時代だったのだろう。わけがわからないままに、なんとなく勢いにまかせて出場することになったのが、ストックホルム大会ということになる。

今のところ、スポーツとは無縁ところにいるのが、足袋を作っている播磨屋の店主(ピエール瀧)である。これから、四三のマラソンをささえるであろう足袋を作ることになるはずだが、今のところ、自分の作った足袋に不満を言われて憤っている。

それから、やはり志ん生。ようやく落語家の弟子入りがかなったところ。スポーツにも、オリンピックにも、関心はないようだ。その志ん生が、なぜ、1964年の東京オリンピック招致までの話しを、高座で語ることになるのか、そのわけというのはまだ描かれていない。

ともあれ、オリンピックには、その時の国際情勢、また、参加国のナショナリズムというものが、どうしてもつきまとう。それを、無理に振り払おうとしているドラマの作り方であることは理解できるのだが、それが、見ていて面白いかどうかは、また別である。(私は、今のところ、これはこれで一つの作り方だと思って見ているのだが。)

スポーツに打ち込む若者の純真な姿を肯定的に描くことと、ナショナリズムを払拭して描くこと、このところを、これからこのドラマはどう描いていくことになるのだろうか。宮藤官九郎の脚本に期待して見ることにしよう。

追記 2019-02-12
この続きは、
やまもも書斎記 2019年2月12日
『いだてん』あれこれ「お江戸日本橋」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/02/12/9035214