『どうする家康』あれこれ「守るべきもの」2023-03-07

2023年3月7日 當山日出夫

『どうする家康』第9回「守るべきもの」

大河ドラマに限らず、歴史ドラマの多くは、結果がわかっている。徳川家康の場合であれば、最終的に天下の統一をはたし、江戸時代をつくることになる。まあ、いってみれば、成功した立場、勝った立場ということになるのだろう。

多くの視聴者、あるいは、家康関係の書物の読者が求めるものは、その成功者の人となりであり、人生がどのようなものであったかということになるだろう。

ある意味では、ビルドゥングスロマン(教養小説)として読まれる、受容されるべき必然性のようなものがある。そして、このドラマも、このことをかなり意図して作ってあるようだ。この回においても、為政者とはいかなる存在であるべきか、家康は一つ学習することになる。このあたり、なんとなくゲーム的である。

一つには、家康という人物を、あまり理想化して描いていないということがある。どちらかといえば、ダメ人間である。そのダメ人間が、どうして天下を治めるまでなったのか、その経緯、成長の過程をたどってみようというのが、このドラマの本筋であるように思える。

さらには、そのダメ主君をささえる家臣団のあり方である。主君はダメかもしれないが、家臣団は逸材が多い。強い結束力で、三河の国、松平という武家の家を、ささえていく。この家臣団あっての、戦国の徳川ということになる。

ところで、やはり、一向一揆を影であやつっていたのは、千代であった。そして、その千代の背後には、武田信玄がいた……ということになる。三河一向一揆と、甲斐の武田と、どのようにかかわっていたのかは、時代考証の分野の話しになるのだろうが、これは面白いところである。

次回は、側室をめぐる話しになるよようだ。家康はどうすることになるのか、楽しみに見ることにしよう。

2023年3月6日記