「発見 昭和天皇御進講メモ〜戦時下 知られざる外交戦〜」2023-08-12

2023年8月12日 當山日出夫

NHKスペシャル 発見 昭和天皇御進講メモ〜戦時下 知られざる外交戦〜

松田道一という人物のことは、この番組で知った。

思うことを書いてみるならば、次の二点になるだろうか。

第一には、インテリジェンスで負けた戦争であったということ。戦争は外交である。インテリジェンスが何よりも重要になる。その当時の国際情勢の判断を見誤ったといわざるをえない。

ドイツが勝つだろうという希望的観測。中立国を介しての和平交渉への望み。これらは、ことごとく失敗していたことになる。

第二には、だが、もし昭和天皇のもとに正確な情報が届けられていたら、と考えることもできる。その場合、太平洋戦争は起こらなかっただろうか。あるいは、もっと早くに戦争を終結へとみちびくことも可能だったろうか。

この場合、天皇がどこまで国策に関与できるものなのか、制度的な面において問題があるかもしれない。独裁的権力があっての戦争回避というのは、現実的なものの考え方ではないだろう。昭和天皇自身がどう考えているかは重要であるが、それがどのようにして政策に反映されるべきかは、また別の問題である。

以上の二つのことを思ってみる。

今回の史料の発見によって、昭和天皇が、その当時どのような国際情勢についての認識を持っていたか、そのかなりの部分があきらかになることだろう。

この史料は、今後、どのように保存され、あるいは、研究に利用されることになるだろうか。

2023年8月11日記