BS世界のドキュメンタリー「AIの不都合な真実」2025-05-09

2025年5月9日 當山日出夫

BS世界のドキュメンタリー 「AIの不都合な真実」

2025年、フランスの制作。

番組の内容……AIのデータ入力が、グローバルサウスの貧しい人々を搾取することでなりたっている……このこと自体は、これまでにも伝えられてきていることだとは思う。しかし、実際にそのデータ入力の作業をする人にインタビューをして、どのような労働をして、いくらぐらい貰っているのか、という実態をレポートしたのは、これが、私の見た範囲では、はじめてである。

AIには、様々な問題点、危険性は指摘されている。だが、だからといって、現在、開発中のものを止めてしまえばいいかというと、そう簡単にはいかない。あつかっていたのは、アメリカのシリコンバレー企業であるが、現実には、AIの開発競争は、全世界的におこなわれている。アメリカからすれば、中国を脅威として、それに先を越されてしまう、より優秀なAIを開発されてしまう、ということを、もっとも危惧していることにちがいない。

これは、アメリカの政権が、現在のトランプ政権であろうと、(選挙の結果とはちがって)民主党政権であろうと、同じことである。また、イーロン・マスクがトランプよりであることをとりあげて否定的に語っていたが、去年のアメリカ大統領選挙のとき、シリコンバレー企業は民主党よりで、多額の選挙資金を提供していたはずである。だからこそ、イーロン・マスクがトランプ大統領に接近していったことが、奇妙なことに思えてニュースになった。私としては、このように理解している。

「TESCREAL」ということばが出てきていたので、検索してみたが、まだ日本語版のWikipediaには項目がないようである。

Transhumanism:トランスヒューマニズム
Extropianism:エクストロピアニズム
Singularitarianis:シンギュラリタリアニズム
Cosmism:コスミズム/宇宙主義
Rationalism:合理主義
Effective Altruism:効果的利他主義
Longtermism:ロングターミズム/長期主義

以上は、以下からのコピーである。ある種の合理的思想と、超越的な神秘思想がいりまじったものということになるだろうか。

https://gendai.media/articles/-/124179

おそらく、このことばについて解説した本などが、日本で刊行されるのはまちがいないだろう。AI開発の背景が、どのような思想や考え方なのか、ただ利便性を強調するだけではなく、その文化史的、歴史的背景から、理解しておく必要がある。

AGI(汎用人工知能)が、はたして、いつ、どのように成立することになるのか、これは、まだ未知の領域ではある。だが、現在のAI開発が、最終的に、このような方向を目指していることは、たしかである。

さしあたっての課題は、データセンターの運用には、多大の電力を必要とすることがあるのだが、AIのためならということで、省エネ政策は、この分野には適用されないようである。

日本でのAI開発において、現在、グローバルサウスの国々の人びとによっておこなわれているような仕事をどうするのか、という議論はきかない。日本国内でどうにかする、ということなのだろうか。

また、中国もAI開発にちからをいれているのだが、その末端の労働はどうなっているのだろうか。これも、まったくニュースなどで報じられることはない。

2025年5月7日記

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