『忘れられた花園』ケイト・モートン2018-01-29

2018-01-29 當山日出夫(とうやまひでお)

ケイト・モートン.青木純子(訳).『忘れられた花園』(上・下).東京創元社.2011
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488013318
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488013325

出た時に買って、ざっと読んだ作品であるが、これは再読になる。今度は、じっくりと、一語一句を味わうつもりで読んでみた。

この作品も、複数の時間と視点が交錯して書かれている。1913年、ひとりの少女が英国からオーストラリアまで、ひとりでやってきて、港にとりのこされる。ネルとなづけられることになる。時はうつって、2005年。オーストラリアで息をひきとったネルは、孫娘のカサンドラに遺言をのこす。そこには、英国のコーンウォールの家が残されるとあった。なぜ、ネルはその家を残すことになったのか。そもそもネルとは、どんな人間として生まれてきたのか。謎をめぐって、カサンドラは英国に赴く。三つの物語がおわるとき、その最後の謎が明らかになる。

訳者の解説には、ゴシック・ロマンスとある。『湖畔荘』『秘密』と逆順に遡って読んできたことになるのだが、まさに、このことばがぴったりの作品である。

とんでもないトリックが仕掛けてあるというのでもない。巧妙な叙述トリックでもない。そこに展開されるのは、ひとりの少女の出生の秘密へと収斂していく、複数の物語である。結果は、たぶん予想どおりというところにおちつく。が、そこにいたるまでの複数の……主に三つの……物語の厚みが、作品の魅力といってよい。

調べてみると、「このミス」では、2012年の9位になっている。これは、もうちょっと順位が上でもいいのではないかと感じる。(まあ、これは、その後の『湖畔荘』までの作品を知っているからそう思うのかもしれないが。)

濃密な探偵物語が好きなむきには、おすすめである。この本、再読してみるにたえる本である。

次は、『リヴァトン館』を読むことにしよう。

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