映像の世紀バタフライエフェクト「塩の行進 ガンジーの志を継ぐ者たち」2023-12-22

2023年12月22日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 塩の行進 ガンジーの志を継ぐ者たち

アッテンボロー監督の『ガンジー』は公開されたとき映画館で見た。

ガンジー、キング牧師、アキノ、アウン・サン・スー・チー、それぞれの非暴力による抵抗の戦いを描いている。(どうでもいいことかもしれないが、NHKの番組のHPを見ると、「スー・チー女史」と書いてある。今時、「女史」は使わないと思うのだが。)

考え方はいろいろあるかと思う。ガンジーに代表される非暴力の抵抗を理想的に描くことも確かに重要である。その理想は追求する価値がある。

その一方で、インドの独立が達成できたのは、チャンドラ・ボースなどの影響もあってのことである、とも考えることができよう。ただ、非暴力による抵抗だけで独立が出来たとは言えないかもしれない。

独立に際して、インドとパキスタンに分かれてしまったことは、ガンジーの理想が実現しなかったことでもある。

そして、さらには、メディア戦略もある。ガンジーは塩の行進を、メディア……その当時であれば新聞でありニュース映画ということになるのだろうが……を利用する形で行った。この戦略は、番組に出てきた後の人びとにも受け継がれることになる。

現代ではどうだろうか。特にメディアの利用ということではなくても、スマホとSNSで、情報はいっきに世界に拡散する。

非暴力、宗教の(対立ではなく)融和……この理想を求め続けていくことの価値を、現代の世界の情勢は示しているだろう。あまりにも理想主義的な番組の編集であったかもしれないが、しかし、このような作り方の番組もまた今日において必要なものであると考える。

糸車を回すガンジーの姿は、何よりも生産効率を優先する現代の風潮において、省みるべき一つの人間のあり方として、強く印象に残るものである。

かなり以前、三〇年ほど前のことになるだろうか。ある女子大学で教えていたときのことである。講師室で、学生と先生が話しをしているのが耳にはいった。聞くともなく聞いていたら、どうやら学生は、キング牧師のことを知らなかったらしい。さて、今の若い人、学生たちにとって、番組に出てきたような人のことはどのように知られているのだろうか。

2023年12月20日記

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